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コウ・ユージン 「今日から俺は! スーパー『マッチョメン!』」

「かなり予定外だけど、ちょっとした田舎の野性味溢れるキャンプ生活~みたいな感じか」


『そうなります。私の子機だけでも、周囲の探索は可能ですので、マスターはのんびりと、船内で自由に羽を伸ばして頂いても構いません』


「そっか~わかった! じゃあ暫くは船内でダラダラしてるわ」


『何かあれば、随時ご報告致しますので、ごゆっくりどうぞ』


――そんな飛鳥の言葉を鵜呑みにしてしまった俺は、ダラダラと数日を船内で過ごしてしまうのであった。


 船内でダラダラと言っても、未知の惑星に不時着してしまった現状では、有事の際に備えての戦闘射撃シュミレーションなどのトレーニングに、時間を割いてしまったのは仕方がない事だろう。


 こんな俺でも、そのくらいの危機感は持っている。


……決して、妖艶美女の飛鳥子機さんに気を取られてしまい、そのモヤモヤを……体を動かす事で解消させた訳では決してない。絶対にそうではないのだ!


「飛鳥さんや? まだ現地民からのコンタクトなどは無し?」


『はい。不思議なくらいに一切御座いません』


「こっちは派手に墜落したようなもんだけどな~。様子も見に来ないとか、普通ある? ないよね?」


『現場の状況確認は、非常に重要です。そういった意識さえ無い程の程度の低い文明生活なのか、もしくはこちらへ確認に来れない理由が何かあるのかと私は考えます』


「理由ねぇ……。この森が実は(宗教的な)聖域などで、立ち入り禁止区域であるとか? もしくは逆? 魔境扱いで、入った人間は死ぬと言われてるとか?」


『其の可能性は否定出来ませんね。これだけ自然溢れる地が、未開のままで放置されている理由は、当然あると私も考えます』


「まあ下手に騒がれるよりは、放置されてた方がこちらも都合は良いんだけどね」


『平和的に、修理の時間が稼げるのは有り難い事です』


「うーん。聖域、魔境ねぇ……。この辺でそれらしき物とか、変な生物は居るの?」


『非常に原始的な植物や、生物などは多数確認しておりますが、先日出した分析結果からしても、問題の無い土着の植物や生物だと私は結論を出しております』


「そっか、じゃあ後は何だっけ? 飛鳥でも分析出来ない物質があるとか?」


『そうなんです。この星では、ほぼ全ての存在にその物質が含まれて構成されているのですが、それだけを抽出しようとすると何の前触れも無く消失してしまうのです』


「なんだそりゃ? 飛鳥も全く把握出来ない(成分)物質? とかありえんの? 謎すぎ。そこに何かがある筈なのに、それを確認出来ないとか。この世界では、未確認物質って本当にあるんだ? 御伽噺の世界のような、アレは何だっけ? 暗黒物質ダークマター? とか? みたいな奴」


『何か悔しいのですが、そのような摩訶不思議な物が、この惑星では確かに存在しており、全てにそれが含まれて構成されているという事は、認めたくありませんが事実です』


「何とも不思議な世界だね」


『便宜上それらを【マナ】と定義します。ここ数日の探索や、それらを分析した結果から申しますと、この惑星ではマナを多く含んだ物程、存在としてより強くなる傾向があるようだと判断します。同じ種の植物や動物でも、マナを含んだ割合が多い個体のほうが大きく成長しており、存在として強くなっておりました』


「そりゃまた凄い物質だね! そのマナって奴は俺達には有害にはならないの?」


『私の別の子機で、実際にマナを取り込めるのかどうか等を、またその結果どんな影響があるかを色々と試行しておりましたが、実例としましてマナを含む生物を倒したり、その肉を調理し体内に摂取するなどをする事でも、そのマナを自分の体内に蓄積する事が出来る事が判明しております。悪影響は一切確認されず、むしろ身体的な性能が上昇したという結果が出ております』


「そりゃ凄い。そのマナって奴を、俺もバンバン摂取したら俺は無敵のスーパーヒーロ? あはは」


『ムキムキマッチョマスターですね。素敵です!』


――そんな風に、俺達は軽口を叩きあってみたのだが……。


 この世界では、素手で地面を簡単に割るような、そんな化け物みたいな奴らが本当に存在しているなんて、俺達は想像もしていないかったんだ。

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