2話 仕事
俺の名前は伊勢木誠。何でも屋花園の店員として働きながら、バークリーという怪物と戦っている。
そして、この店の受け付けをしているのが妹の伊勢木 美彩奈。高校を卒業したばかりだが直ぐにこの店に就職した。俺にとってたった1人の大切な家族だ。
「今日はお客さん全然来ないなぁ」
そうボヤいているのは、この店を経営している店長の花園 花男だ。俺がまだ中学3年の時、ある事件で両親を亡くしてしまった。その時両親の知り合いだった店長が快く俺たちを引き取ってくれた。俺と美彩奈にとっては血の繋がっていない父さんみたいな存在だ。
この何でも屋花園という店は、本当になんでも依頼を受ける店だ。害虫駆除・物の修理・いなくなったペットを探す、果ては殺人事件までも受けた事がある。だから俺は数え切れないぐらいの資格を取らされた。
この店は、何でも屋というだけあってコンスタントに依頼が舞い込んでくる。まぁ値段も安いというのもあるが。
「いらっしゃいませ〜」
お客さんが来たようだ。
「どういったご用件ですか?」
美彩奈が丁寧に対応している。
「わかりました。あちらのソファにかけてお待ち下さい。」
そう言い終わると、俺の方に近づいて来た。
「お姉さんが行方不明みたい。」
美彩奈が俺に伝えてきた。
「わかった。ありがとう。」
そう言い終わると、俺はお客さんの方に向かった。どうやら女性のようだ。
「私は、この件を担当する伊勢木誠です。よろしくお願いします。ご用件を伺ってもよろしいですか?」
丁寧に対応する。
「私は、相田 千紗って言います。よろしくお願いします。その、、いなくなったお姉ちゃんを探して欲しいんです。」
お客さんの相田さんは、泣きそうなのを堪えるかのようにそう話し始めた。
「お姉さんのお名前を教えてもらえますか?」
俺は、優しく訪ねる。
「相田 咲千って言います。」
相田さんの目から涙がつたっていた。
「お姉さんはいつ頃いなくなったんですか?」
俺は、さらに優しく訪ねる。
「1週間前です。英会話のスクールに行ったっきり帰ってこなくて、普段からお姉ちゃんと私は年が近いのもあって凄く仲が良くて、でもその時はちょっとした事でケンカになってメッセージで『もう帰ってくんな!』って送ってしまったんです。そしたら本当に帰ってこなくて警察にも相談したんですけど、相手にしてもらえなくてーー」
相田さんは、涙を堪え切れずに泣き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
俺は持っていたハンカチを相田さんに渡した。
「お姉さんの顔がわかるものとかありますか?あと行きそうな場所とか“将来の夢”とか」
俺は、相田さんが涙を拭くのを待ってから言った。
「写真ならあります。」
「ありがとうございます。」
俺は、写真を受け取った。
「行きそうな場所は、思い当たりません。頻繁に外に出る人では無かったので。」
「そうですか。」
「夢って何か関係あるんですか?」
「まぁ一応です。」
「キャビンアテンダントになるのが夢って言ってました。だから英会話スクールに通ったり専門学校にも通ってました。」
相田さんの目から再び涙が溢れそうだ。
「キャビンアテンダントを目指すきっかけって分かりますか?」
「確か高校生の時に飛行機に乗っていたキャビンアテンダントさんが格好良かったからって言ってました。」
「わかりました。それでは相田さんの家に行っても構いませんか?」
俺はこれまで話した事を全て手帳に書き込んでパタンと閉じてから言った。
「わかりました。」
相田さんは、快く応じてくれた。
「行ってくる。」
美彩奈と店長に冷静に言った。
「気をつけてね。」
美彩奈は心配そうに俺に言った。
仕事の始まりだ。
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