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超ハードモード異世界召喚勇者物語  作者: 津筒津
人類救済の英雄
3/10

戦場で芽生える友情。そして死亡フラグ

「見事……だ勇」

「黙って死ね」


ザクッと頭に聖剣を突き立てる。

この魔王達が侵略してくるから戦争が終わらないのだ仕方ない、ちなみに勇者の殺人への忌避等は最初の戦場あたりを探せば落ちている。良識もまとめて。


「魔王討伐おめでとうございます!」


「あと27人もいるんじゃ達成感味わってる暇無いだろ、とりあえずココ……西側は任せて大丈夫か?」


「はい! 信用できる者とその部隊をを残して行きますので御心配無く」


「よし、とりあえず避難場所に来てる魔物は粗方蹴散らし終わったか?」


「はっ! 魔物を出しては潰されを繰り返して慎重になっているのかと」


「じゃあ休む。流石に疲れた」


そのまま地面に大の字になって倒れ込む勇者護。

周囲の兵士からみれば、あっさり倒したように見えた魔王との戦闘だが激闘だったのだ。


属に勇者召喚と言われる召喚方法をされた勇者は凄まじい身体能力と、無尽蔵とも言える大気と大地からの魔力供給が可能だ。

その上で勇者護特有、個人的な能力も与えられる。

護の場合は圧倒的な速さ。

狭くない大陸を1時間で端から端まで走りきる速度と持久力、瞬発的な速さも凄まじく転移と勘違いされる程だ。


だから戦場を右往左往させられているとも言える。


他にも二つ程の個人特有能力があるが、主に雑魚散らしが仕事なので使いどころはまだ無い。


「勇者様のおかげで時間的な余裕が確保できました。本当にありがとう御座います」


「あぁそりゃよかった。頑張った甲斐もあるってもんだ」


「はは、これで避難地域に居る妻子にも生きて会えるというもの。戦争が終わったら妻の特製ミートパイを御馳走しますよ」

「おい、やめろ。」


明らかな死亡フラグを深々とぶっ立てる隊長。

勇者護の静止も聞く耳持たず妻子の自慢話をし始めた隊長に死亡フラグというものを教え込みたい護だったが、もはや遅きに失したと諦めの境地だ。


隊長、獣人族のロマーソは最初の戦場から共に駆け抜けてきた戦友のような存在だ。

こんな所で失う訳にはいかないと決意を固める護。


抵抗しがたい睡魔の猛攻に屈しそうになりながら護は思い出す。


人類とは人だけではなく獣人やエルフ、ドワーフなども含まれる。

テンプレ通り仲の悪いエルフとドワーフも、喧嘩している間に人類が滅亡しては本末転倒なので協力している。

エルフの巧みな弓捌きによる遠距離攻撃と回復魔法、ドワーフの全身鎧着用からの大戦斧による近接戦闘は上手く噛み合い戦果を挙げている。


(とりあえず直近の危機は凌いだ、あぁ72時間ぶりの睡眠………至福だ)


笑みを浮かべたまま死んでいるのではないかと疑うように静かに、深く睡魔へと身を委ねる。



▼▼▼



ガァンギィン!


「ん?」


戦いの音が勇者を微睡みから叩き起こす。


「おう、起きたか勇者様」


目覚めたのは寝転がった地面の上、声を掛けてきたのはドワーフの男性だ。

斧を豪快にぶん回す姿を見て、相当な怪力だと推測できる。


「戦闘か?」


「いや、小競り合いみたいなもんじゃ。勇者様はもう少し休んでおってくれ」


「……問題ないな、身体の状態は頗る良い。俺は何時間寝てた?」


「6時間程だな、後5時間程寝ておけ」


「あぁ食ったら寝る。護衛してくれてんだろ?ありがとな」


大量の干し肉を“勇者の腰袋”から取り出して貪り食う。“勇者の腰袋”は所謂アイテムボックスだ。

時間経過はあるが大量の食料と水を重量感無く持ち歩けるので重宝している。


「情けない話じゃ、異世界の何も知らない子供を略取して戦場に駆り出す。申し訳ないと思っておる」


「今さらだろ、俺には救える力があって護れる命がある。姫様達に頭下げられちまったし、とりあえず全力で戦う理由はそれでいい。断ったら男が廃るだろ?」


睡眠をとって明瞭になった頭でドワーフとの会話をしつつ食料を詰め込むように喰らう。


「それもそうじゃな、男として女の必死の懇願は断れん。」


「だろ? まぁ難しい事は魔王共を全滅させてから考えるさ」


「しかしのぅ、おぬし歳はいくつじゃ?」


「16だけど?」


「若すぎるのぅ、若者が先頭に立ち強敵を薙ぎ倒し老いぼれが後方で雑魚をちまちまと仕留める。勇者とは言え孫より年下の者に護られる………最終的には肉壁として役に立つしか無いかのぅ」


「縁起でも無ぇ事言うなっての、んじゃあ寝るから護衛よろしくな………死ぬなよ?」


「誰が死ぬか、さっさと寝ろ。」


ドワーフの兵士との会話を楽しんでから錠剤を飲む、一粒で1時ピッタリ寝てパッチリ起きられる便利な薬だ。

東奔西走の最中には1時間寝られる錠剤を4つに割って飲んでいた事を思い出し、5つも一気に飲めるなんて贅沢だとおもったが、普通一日5時間は寝るだろうと常識を思い出し少しゲンナリする。


ばったりと倒れるように入眠した勇者護は、頼もしい護衛を思い出しながら安心感と共に心地良い脱力感を感じながら意識を落とす。



目が覚めた時目にした、自分の周りだけは何の被害も影響もない。しかしそれは自分の周りだけだ、護を中心とした円の外側は肉と骨と内臓入り混じる血の海だった。

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