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迷宮神獣Ⅰ~汚染獣襲来~  作者: J
旅立ち
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勇者と汚染獣の物語

お待たせしました!

修正が終わりましたのでどうぞご覧くださいませ~☆

 この世には2種類の力があります。神力と魔力――それが世界を覆う力の名です。

 神力が負のエネルギーに晒されると魔力へと変じ、魔力を糧に多くの生物が生まれてきました。世界は生命に溢れ、様々な種が多種多様な文化を築き上げたのです。

 しかし、いつしか増えすぎた負のエネルギーが魔力を侵食し、第三の力――瘴気が誕生しました。そして、瘴気より汚染獣が産声を上げたのです。


 汚染獣は世界を喰らい、世界を瘴気で満たします。山を汚し、川を汚し、大地を汚し、空気を汚し、世界を滅びへと導く恐るべき獣……それが汚染獣なのです。

 

 ある時、特別な汚染獣が生まれました。その汚染獣は本能のままに行動する他の汚染獣とは違い、考えることができました。

 

 その知恵ある汚染獣に近くの国が飲み込まれました。まだまだ汚染獣は止まりません。

 そこでガリリアント魔法帝国は異世界より勇者を召喚することにしました。これまでも魔法帝国は多くの勇者を召喚して利用してきました。勇者たちは帝国に逆らえないよう魔法をかけられているのです。


 新しく召喚された勇者は6人。


 しかし、その内の1人は特別な魔法を何も持っていませんでした。魔法帝国は無能な勇者を殺そうとしましたが、逃げられてしまいました。ですが魔法帝国は気にしません。新たに5人もの勇者を従えることができたのですから。

 

 5人の勇者は知恵ある汚染獣を倒すために旅立ちました。そして激しい戦いの末、ようやく知恵ある汚染獣を倒すことができたのです。


 しかし奇跡はそこで終わり、絶望の時間の始まりです。


 勇者の1人が知恵ある汚染獣に剣を突き立てた瞬間、汚染獣からたくさんの瘴気が噴き出したのです。その瘴気を浴びた勇者全員が、見る見るうちに知恵ある汚染獣に変わってしまいました。

 そう、勇者たちが倒した知恵ある汚染獣もまた、魔法帝国に召喚された勇者だったのです。


 5体の知恵ある汚染獣は多くの汚染獣を生み出し、従えました。もはや人々に為す術はありません。魔法帝国もほかの国も、みんな汚染獣に飲み込まれました。

 




 人々は逃げました。北へ北へ、まだ汚染されていない大地へと。ですが、これ以上逃げられません。

 そこは最北の町ノースティア。人々は絶望しました。世界の終わりがやってきます。どんどん、どんどん近づいて……。


 しかし、希望はまだ残っていました。


 それは最後の奇跡、最後の希望。帝国から逃げ出した勇者が生き残っていたのです!

 彼は特別な魔法は何も持っていませんでしたが、その代わりに絶大なる身体能力を得ていたのです。魔法帝国は、その力に気が付かなかっただけなのです。


 勇者の拳は空を裂き、勇者の脚は大地を割りました。そして勇者は、叡智ある魔物の王たる竜王と、最後の神域の守護者たる神獣の心を動かしたのです。彼らは勇者と共に戦うことを決めました。


 神獣は勇者のために神剣を生み出し、愛を与えました。勇者はその愛を得て汚染獣に負けぬ体を手に入れたのです。その身が汚染獣に変わらぬように、その身が愛しき神獣を傷つけぬように。

 



 そして最後の戦いが始まりました。


 勇者は神剣を手に、竜王は牙と魔法を武器に、そして仲間の戦士たちは勇気と覚悟と共に。

 いったいどれほどの時が経ったのでしょうか。荒れ果てた大地へ立っているのは、勇者と竜王、そして一体の知恵ある汚染獣だけとなりました。

 その汚染獣は他の知恵ある汚染獣を喰らい絶大なる力を得た個体でした。勇者も竜王も酷い傷を負っています。

 勇者が最後の力を振り絞り、神剣の力で遂に汚染獣を大地に縫いとめました。


 そして……願うのです。最期の願いを。共に笑い、共に泣き、ずっと勇者を支えてきた親友(せんゆう)である竜王に。


 竜王は持てる力の全てをブレスへ込め、汚染獣に放ちました。その凄まじいまでの一撃は触れるもの全てを塵へと変えたのです。


 ——汚染獣を


 ——勇者を


 ……竜王の慟哭を残して……


 永い永い、本当に永い戦いが終わりました。

 人々の胸に希望が戻り、新しい時代――新世暦――が幕を開けたのです。後にこの戦いは大災厄と呼ばれ、勇者召喚は世界最大の禁忌となりました。





 人々よ忘れることなかれ

 大災厄を、そして勇者を


 勇者の名は〈マサキ・イジュウイン〉

   ――()は世界を救いし者の名よ

   ――()は希望を与えし者の名よ


 その名を称え、心に刻め

 過ちを繰り返すことのなきように


 人々よ忘れることなかれ

 ――〈勇者と汚染獣〉の物語を――




 


 著者 エドモン・マクロワ


  


  


 

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