表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
82/364

ー熟成の章10- 戦国時代は修羅の国

「ということは、この前の寺みたいに、武器を手に取って、反抗してくる寺社ってのは当たり前なのか?」


「そうッスよ。寺社なんか、特に金が集まるッスからね。その金で、兵を雇っているッスよ。無抵抗なわけがないッス」


「そういえば、熱田神宮は信長さまの父親の信秀さまの頃から懇意にさせてもらってるけど、もし、そうじゃなかったら、今頃、私たちと利家(としいえ)さんたちとは敵同士だったかも知れないんだね」


 椿が言う。俺は背筋にぞくっと冷たい何かが流れるのを感じる。


「そう言われれば、そうッスね。今は、にこやかにメシ喰ったり、ふんどし買いに行ったりとか、かなり親しく付き合っているッスけど、時代が時代なら、ひょっとしてたかも知れないッスね」


「付き合っているっていのは語弊を生みそうな発言だけど、スルーしとくわ。もしかしたら、利家としいえさんに一矢、放っていた可能性もあったわけね」


「そうッスね。そうならなくて良かったッス。美人を手にかけるのは、さすがに心が痛むからッスね」


「美人って。私はそんな言葉じゃ、揺らがないわよ」


「それは失敗したッス。可愛いと言っておけば良かったッスか?」


「椿を可愛いって言うのは、利家としいえさんくらいだよー。なんで、椿は利家としいえさんを彼氏にしないかなー」


 菜々が言う。女ってのは、可愛いとか美人とか言われて、悪い気はしないもんじゃないのか?


「ん?彦助ひこすけ。言っておくけど、好きでもない相手に、美人だ、きれいだ、可愛いだなんて言われても、ちっとも心にくるものなんてないわよ。逆に、下心がありありで、気持ち悪いくらいだよ」


「たはあ、椿さんは言うこときついッス。下心なんてないッスよ」


 利家としいえがめずらしくダメージを喰らっている。いいぞ、もっとやれ、もっとだ。


「大体、私のどこが可愛いんだい?いつもぶっきらぼうで、怒ってるばっかじゃないか。利家としいえさんは、もっと良い女を口説いたほうが時間の無駄にならなくて良いと思うんだけどねえ」


「ううん。おべっかは逆効果ッスか。これは作戦を変えないといけないッスね」


「そういや、利家としいえは、もし、椿たちと戦うことになってたら、どうしてたんだ?」


「ん?そりゃあ、命のやりとりをするに決まっているッス。熱田神宮と言えば、ここいらで一番でかいやしろッス。手を抜こうものなら、こっちの命がいくらあっても足りないッス」


「椿も、もし、戦うことになっていたら、俺たちとやりあうつもりなのか?」


「んー、そうだねえ。熱田神宮に喰わせてもらっている身分だし、やるだけはやるさ。まあ、ダメそうなら逃げるのも手かな。どうせ、金で雇われてる身だし、命を賭けるまではしないかな?」


「逃げてくれるなら、一安心だなあ。俺は椿や、菜々さん、それに風花さんと命のやりとりをするのは嫌だしな」


彦助ひこすけくんは優しいんだねー。菜々もみんなと戦うのはいやだなー」


「私もそう思いますね。せっかく皆さんと仲良くやっているのに、戦えと言われればちゅうちょしてしまうのですわ」


 菜々さんと風花さんがそう言ってくれる。やっぱ、友達同士で殺しあうなんて、誰でも嫌だよな。


利家としいえ


「ん?彦助ひこすけ、なんッスか?」


「頼みがあるんだ。信長に、熱田神宮のお偉いさんとは仲良くしてほしいって伝えてほしいんだ」


「そんなことッスか。心配しなくても大丈夫ッスよ。熱田神宮の宮司さんは話がわかる人ッス。信長さまに色々、支援してくれてるッス。信長さまは恩には報いで応える人ッスから、大事にはならないッスよ」


「そうか、それなら安心した。俺、もし、信長が熱田神宮と敵対するって言うなら、熱田神宮のほうに寝返りそうだぜ」


「お前は本当にやりそうで怖いんだぶひい。僕だって、彦助ひこすけと殺し合うのは御免なんだぶひい。僕からの分も信長さまによろしく伝えておいてほしいんだぶひい」


「私も、です。彦助ひこすけ殿が敵に回ると言うなら、容赦はしないと思い、ますが、なるべく、敵同士にはなりたくありま、せん」


「ひでよし、そこは容赦してくれよ。俺たち、マブダチだろお?」


「嫌ですよ。手加減なんかして、私が信長さまに叱責されたらどうするん、ですか。私の出世街道がお先真っ暗になるじゃない、ですか」


 なんで、ひでよしって、たまにドライなところがあるんだろうな。本気で怖くなる時があるわ。


「そういえば、彦助ひこすけは気をつけるッスよ。信長さまが治める領内はいいッスけど、その他の場所に行くときは、例え、農村といえども注意するッス。信長さまの領内から外は、全部、敵だと思っていた方がいいッス」


「そんなに危険なのか?武装しているって言っても、所詮、農村だろ?」


「あいつらを舐めたらダメッス。隣村と水をとったとらないで、命のやりとりをするようなやつらッス。牛さんが絡むと全面戦争をするやつらッス」


「牛こわいなあ。本当、牛って怖いなあ」


彦助ひこすけ殿は、昔、牛を食べたって言ってましたから、そんなこと、村で言ったら、八つ裂きにされて、しまうのです」


 ひでよし、それを言うんじゃねえ!


彦助ひこすけ、お前は本当に馬鹿ッス!比類なき馬鹿ッス」


 ほおら、利家としいえに怒られたじゃねえか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ