ー熟成の章 5- 彦助はレベル3
さて、話を戻そう。皆を守れるために強くなろうとは決めたものの、具体的には何をしたらいいんだ?
俺の好きなゲームのジャンル、アールピージーなら、モンスターを倒して経験値を稼いで、宿屋に泊まればレベルアップだ。だが、ここは戦国時代である。盗賊を倒したり、合戦で兵士を倒したりして、相手の魂を奪い、巫女にその魂を捧げればいいんだろうか。
いかんいかん、これではゲーム脳じゃないか。
推測を深めよう。俺は転生?をして、ここ戦国時代にやってきたわけだが、もしかすると、見た目にはわからないがステータスがどこかに表記されているのかもしれない。もしかしたら、ふとももの裏にこっそり書いてあるのか?
「ん?彦助。なに、ふとももをまさぐっているんだぶひい」
「いや、ここに数値が書かれているかも知れなくてさ。ちょっと、田中、確認してくれないか?」
俺は服の裾をめくり上げ、田中に確認してもらう。
「どれどれ、あっ!」
「お、やっぱり、数値が書いてあったのか!なんて、書いてあるんだ?」
「ほくろが3つ、ふとももにあるんだぶひい」
俺は、つい、ずっこけそうになる。
「ほくろの数なんか数えてんじゃねえよ!」
「そんなことを言われても、数字なんてどこにも見当たらないんだぶひい。強いて言えば、ほくろが3つ並んでいただけなんだぶひい」
「ほくろなんてどうでもいいんだよ、今は、って待てよ」
もしかしたら、数値ではなく、ほくろの数がステータス表記の代わりなのかもしれない。そう考えれば、今、俺は、ほくろ3つというのだから、レベル3というわけか。
しかし、仮にレベル3では、行ける場所と言えばどこになるのだろう。次の町に向かうには、少々、心もとない数値ではある。ここは慎重にレベル上げを続け、次の町に向かう準備を整えることが適切か。
もう一点、気になることと言えば、このほくろがレベル表記であるのならば、田中たちにも当然、ふとももの裏にほくろがあって、当然だ。
「おい、田中、弥助、ひでよし。お前らのふとももを見せてくれ」
「こいつ、何を言っているんだぶひい?ついにとち狂ったんだぶひいか?」
「オウ。弥助は、良い医者を知っているのデス。ここから近いので、紹介しまショウカ?」
「あ、あの。男にふとももをじっくり見せる趣味は、持ち合わせていないの、ですが」
「これは大事なことなんだ。頼むから見せてくれ!」
俺の熱意に負けたのか、3人は不承ぶしょう、服をめくりあげ、尻を丸だしにして、俺に向けてくる。絵面は最悪の一言と言って良いが、これは大事なことだ。俺の精神よ。もってくれ!
「田中がほくろ2つに、弥助が尻の分も合わせて5つ。ひでよしは1つか。意外だな」
結論はこうだ。田中はレベル2。弥助はレベル5。ひでよしはレベル1である。
「ねえ、あんたたち、一体、何してるの?この往来のど真ん中で、彦助に尻を見せてるなんて、馬鹿もここまで行くと、さすがに引くわよ」
うるせえ、椿。これは非常に大切な検証なんだ。見た目は確かに、こいつら何やってんだって思われるだろう。だが、みんなの命を守るためなんだ、わかれ!
しかし、レベルがわかったからと言って、これが当てになる数値なのかが、いささか疑問が湧く。この4人の中で一番、相撲が強い、ひでよしが1番レベルが低いのだ。
いや、まてよ?そもそもの初期ステータスが高い可能性がある。アールピージーでは、初期ステータスが高い人間ほど、経験値が他のものより比べて、レベルアップまでの必要値が高くなるのは、基本中の基本である。
俺の考察が正しいのであれば、同じ人間であっても、初期ステータスには違いがあり、レベルが高いからと言って、強キャラなわけじゃないってことだ。弥助は初期ステータスは低いが、経験値を積み上げ、レベル5に達したのであろう。
ということは、レベル3である俺はステータスは平凡で、それなりの経験値を日々の訓練の中、積み上げてきたのだろう。
「なんか、ぶつくさ、また考え始めたんだぶひい。いつものこととは言え、くだらないことを考えているのは間違いないんだぶひい」
「そう、ですね。絶対にくだらないことを考えているに、ちがいありま、せん」
「誰ですか。彦助さんをここまで放っておいたノハ。弥助は悲しくて仕方がありまセン」
うるさい、お前ら。今、俺は真剣に考え中なの。
「菜々は思うのよねー。こう、考えているときの彦助くんが次に取る行動っていえばー」
「うん。わかる。残念だけど、いつものパターンから言うと、多分、あれだわ」
「椿さんは覚悟ができているのですね。それは、殊勝な心構えです」
「風花。いい加減、私も慣れてきたよ。この馬鹿の行動には」
ええい、周りがうるさい。考察に集中できないではないか。女3人、寄ればかしましとは、このことか!あれ、そう言えば、女性の場合はレベル表記のほくろはどこにあるんだ?男はふとももであったが、女性の場合は違うかも知れない。
俺は、はっとなり、椿のおっぱいを凝視する。そうだ、おっぱいだ。女性の場合は、レベル表記のほくろは、おっぱいにあるはずだ!
「ほらね。やっぱり、胸を凝視してきたよ。こんなののどこがいいんだか」
「椿さん。さすがですね。胸を凝視されても、動じないとは」
「椿、頼む、おっぱい見せてくれ!大事なことなんだ」
あれ、目の前にこぶしが飛んでくる。しかもこれは中々のスピードだ。これは回避不可能なことは予測できる。
俺は椿の顔面への右ストレートを綺麗にもらい、その場で地面に崩れ落ちるのであった。




