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ー絢爛の章 2- 男女が同じ屋根の下

 素っ裸の男が4人。そして同じく素っ裸の女が1人。しかもそのうち2人は、いちもつをそそり立たせている。一体、これはどういう状況なのか。だれか説明を頼む。


弥助やすけは思うのデス。とりあえず、事情はよくわかりませんが、皆さん、服を着まセンカ?」


 それはごもっともな意見だ。いちもつをそそり立たせてなければ言うことなしだ。


 男ども各位は、きちょうに尻を向けて、いそいそと服を着だす。なんだ、この光景は。


「うーん、僕のふんどし、どこにいったぶひいかね。ひでよし、知らないかぶひい」


「え、ええと、たぶん、これじゃない、ですか?」


「それは弥助やすけの特注のふんどしなのデス。田中さんの汚い尻にまかれては困るのデス」


「じゃあ、名前でも書いとけよ。ああ、くっそ、俺の息子が言うことをきかねえ」


彦助ひこすけ殿。無理に押し込むと折れてしまい、ますよ?」


「そうは言うけどよ、ふんどしの上から、こんにちはあとかしてた日にゃ、変態扱いだぜ」


彦助ひこすけは変態なんだぶひい。裸の女性を見て興奮しているんだぶひい」


「お前、ちょっと待てよ。まるで俺が裸の女性を見て興奮しているかのように言うのはやめろ!」


弥助やすけは思うのです。彦助ひこすけさんは、少し元気すぎるんじゃないかと」


 弥助やすけ、お前に言われる筋合いはないぞ。


「とにかく、着替えるんだぶひい。帰蝶さまにこれ以上、辱しめをしたら、僕らは切腹ものだぶひい」


 きちょう、きちょう言うけど、一体、誰なんだよ。信長が連れてきた遊女とかじゃないのか?


「ううん、よく寝ました。おや、きみたち。いそいそと何をしているんですか?」


 やっと信長が眠りに満足したのか、起きだしやがる。この女をつれてきて、良いことしてたのは、お前だろ。いい加減、この状況をどうにかしてくれ。


「信長さま。私はこのものたちに辱しめを受けたのです。どうか、こいつらを斬首してください!」


 赤い長襦袢ながじゅばんを着た、きちょうが信長にとんでもないこと言い出しやがった。


「ちょっと待ってくれ。確かに、俺たちは裸だったけど、きちょうってやつも裸だったんだ。だから、どっちも見られたんだ。おあいこじゃねえか」


 俺は必死にわけのわからない理論を振りかざす。信長は、ふむと息をついている。そして、おもむろに顎を右手でさすりながら


「よく事情はわかりませんが、このものたちを斬り捨てればいいんですね?」


 よくわかってないのに、斬り捨て御免は、やめてくれ!


「あ、あの、信長さま。わたしたちは、切腹なんで、しょうか」


 ひでよしがおろおろとしている。田中は真っ青な顔だ。


「はははっ。冗談ですよ。冗談。それより、きみたち、服を着なさい。ふんどし一丁で何をうろたえているのですか」



「で、昨夜は飲みに飲みまくって、皆さん、記憶がないわけですが、帰蝶は覚えていますか?」


「は、はい。ところどころは覚えています。皆さんが楽しそうに飲んでいましたので、私も参加させていただいたのです」


「それで、先生が、帰蝶を連れて長屋に入り込んで、いちゃいちゃとしていたわけですね」


「そ、そうです。それで事が済んで、信長さまが寝込んでしまわれたので、私も一緒に寝たのです」


 じゃあ、お前らがいちゃつくために、俺らの宿舎に入り込んだってことかよ!


「じゃあ、屋敷に帰ったつもりが、知らずか、先生たちがたまたま、この長屋に居たわけですか」


「お酒って怖いんだぶひい。これからは少し、控えるんだぶひい」


 お前らを酔いつぶしたのは、俺なんだけどな。村がひとつ、この世から消えるか消えないかの瀬戸際だったんだ、許せ。


「しかし、なんで記憶が飛ぶまで、わたしたちはお酒を飲んだの、でしょう。その辺の記憶がはっきりしないのですよ、ね」


弥助やすけにもわかりまセン。なにかの話で盛り上がっていたような気もするのデスガ」


「あああ、あああ。その辺はいいじゃねえか。それより、信長。俺らの宿舎で何やってんだよ」


「何って、男女が同じ屋根の下にいたら、やることはひとつじゃないですか」


 まあ、それもそうかって、違う!


「昨夜の信長さまは、激しかったのです。帰蝶は女として生まれてきて幸せだったのです」


 きちょうは頬を赤く染めながら言う。さっきまでの態度と全く違うぞ、この女。


「それは頑張った甲斐がありました。さて、先生の服はどこでしょうか。春になったとはいえ、朝はまだまだ寒いですね」


 きちょうが信長の服を広い集め、信長に渡していく。信長は渡された服を着込んでいく。さすがに身分が違うだけあって、着物の質は、俺たち4人とは段違いなのが見てわかる。


「さて、皆さん。お騒がせしてすみませんでした。昨夜は皆、飲みすぎて訓練にはならないでしょう。追って、休みの報せを届けさせますので、今日は英気を養ってください」


「信長さま、行きましょう。こんな、汚いところ、信長さまには似合いません」


「まあまあ、帰蝶。そんなことを言っては、ここの人たちに失礼でしょう。彼らは先生の大事な兵たちなのです。丁重にお願いしますよ」


 きちょうはぷくうと頬を膨らましている。顔はきれいなのに、口を開くと憎まれ口だ。ああ、美人がもったいないとは、このことだ。


 信長と帰蝶は、去り際、宿舎の出入り口で、丁寧に礼をする。


「休養日だからといって、ハメをはずさないようにしてくださいね。それでは皆さん。また後ほど」


 嵐は去っていった。どうやら、俺たちの首は、胴からおさらばする事態は免れたようであった。ひでよしと田中は、安堵の息をついている。というより、悪いのは、半分くらい、向こうのせいだろ。

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