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ー爛漫の章 6- ご立派さま

 ぼんきゅっぽんかあ。風花さんは、おしとやかな胸に安産型の尻だ。対して、菜々は幼児体型である。顔も幼い感じで、まさに合法ロリ。そして、椿といえば


「ああん?何、ひとの身体をじろじろ見てんのよ。金とるわよ」


 ひいい!


「い、いや。椿さまは、ご立派なものをお持ちだと思いまして、はい」


 椿は、推定Eカップである。風花さんがBカップ、菜々がAカップと言ったところであろう。椿が弓を射る際、俺が胸を凝視しているのは軍事機密だ。決して、俺がおっぱい聖人であることが理由ではない。


 揺れるものを持っている、椿が悪いのだ。俺が悪いわけではない。ご立派さま。そうだ、これからは椿のことは、ご立派さまと呼ぼう。


「何が、ご立派なのかはわからないが、馬鹿にされているような気がするわ」


 いえ、ご立派さまをけなしているわけではございません。拝ませていただいているのです。


「なんだ、なんだ、お前ら。喧嘩か?夫婦の喧嘩は犬も喰わねえっていうし、ほどほどにしとけよ」


「夫婦じゃないわ!どこをどう見たら、そうなるのよ」


 佐久間信盛さくまのぶもりに対して、ご立派さまは怒り心頭である。ああ、この怒りっぽい性格じゃなければ、俺はほっとかないんだけどなあ。風花さんと性格、入れ替わらないかなあ。


 その風花さんは、いまだに田中のお腹をもちもちと触っている。田中は困ったような喜んでいるような複雑な顔つきである。くたばれ!


「でも、椿さまは損してるよな。そんな性格じゃなければ、よる男なんて、いくらでもいるだろ」


「それがそうでもないんだよねー」


 菜々がそう呟く。


「椿は、こう見えても、もてもてなんだよー」


「へえ、意外だな。椿さまに言い寄るなんて、どんなやつなんだ?」


「んーとねー。この前、言い寄ってきたやつは、椿に踏んでください、お願いしますからとか言ってきてたねー」


 俺はぶふうと口に含んだ水を吹きだす。


「きたないなー。何、やってんだよ、彦助ひこすけくんは」


「ぜえはあ、ぜえはあ。何だよ、その踏んでください、お願いしますからってのは」


 俺は、鼻水を手ぬぐいでぬぐいながら言う。椿は不機嫌そうに


「私のほうが聞きたいわよ。天下の往来でいきなり、踏んでくださいとか言い出すんだからね。衆目の的になっちまったよ」


 そら、そんな変態に絡まれりゃ、誰だって見るだろうな。


「他にもねー。鞭で打ってくださいとか、豚と罵ってくださいとかさー。津島の町には変態さんが多いのかなー」


 そりゃ、ご立派さまも大変だ。次は、きっと、ろうそくを持ったやつが現れるに違いない。うん、そうだ。


「椿がそうなら、風花さんなんて、もっと大変だろう?引く手あまたというか」


「風花はそうでもないんだよねー。男どもから見たら、変な気が漂っているというか近寄りがたいというか、そんな感じー。きみたちは、そんな風に思ったことはないのー?」


「んん。俺は、そんな風に思ったことはないけど、たまになんというか、憂いた感じの顔はするよな、風花さんは」


 いつもにこにことしている風花さんだが、一度、町で遠くから風花さんを見かけたとき、何かに憂いた顔を見たことがあるのだ、俺は。


「そうかー。彦助ひこすけくんは、その顔を見たことがあるのかー」


 菜々は、あっけらかんとしているが、何かを知ってそうである。俺の知らない風花さんを。


「菜々。あんまり、ひとのことを言うんじゃないよ。風花には風花の事情があるんだ」


 あれ、ご立派さまも知っているのか。何だろう、気になるなあ。


「ご立派さ、じゃなくて、椿。何か知っているなら、俺に教えてくれよ」


「ん?ご立派がなんだって」


 やばいやばい。つい、口が滑りそうになった。


「まあ、いいか。気になるなら風花本人から聞いたらいいよ。しゃべってくれるかどうかはわからないけどね」


 いいしえぬ予感めいたものが、俺の中にある。だが、俺は風花のことは何一つ知らない。詮索するのは、野暮ってもんなんだろうな。


「いや、いいや。風花さんが語らないってことは、そういことなんだろ。じゃあ、聞くのも野暮ってもんだしな」


 ご立派さまが、ふむと息をつく。


「あんたにしては、殊勝じゃないの。いくさをしてみて、少しは変わったってところ?」


「うっせえ。何も変わっちゃいねえさ。ただ、言いたくないことがあるのは誰だってそうだろ。なら、それに触らないのも大人ってもんだ」


 はははっと、ご立派さまが笑う。


「あんたのどこが大人だっていうのさ。背伸びするのは、やめとき」


「お、俺だって18だぞ。結婚適齢期だろうが」


「残念。私は19才。あんたは、私の一つ下。私から見たら、まだまだ子供だよ」


 ひとつ上なだけじゃねえか。でも、あれ?この時代って産まれた時点で1歳だったような。


「ちょっと待ってくれ。数えで19才なのか?椿は」


「そうだよ。何か変?」


「俺も数えなら19だ。おない年じゃねえかよ」


 椿は、おや?という顔付きだ。


「あんた、19なのに、そんな頼りないのかい。結婚適齢期までは、まだまだ先だねえ」


「ひ、彦助ひこすけ殿は、今夜、男になってくるの、です。明日はみちがえるほど、いい男になるので期待していてくだ、さい!」


「ふうん。彦助ひこすけが男にねえ」


 だから、俺は行かないと散々、言ってるだろうがああああ。


「まあ、期待だけはしておくよ。彦助ひこすけ。楽しんできてね」


 ご立派さま。本当、こいつら、なんとかしてくださいよおおお。

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