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ー春雷の章 3- おいしく食べよう

 うおおお。合戦イベントきたこれ。俺の出世街道がやっとはじまるのか。わくわくが止まらないぜ。


「なあ、田中。ついにいくさが行われるってよ。おれ、わくわくしてきた!」


「うへえ。だるいぶひい。信長さまは人使い荒いから、きついんだぶひい」


彦助ひこすけ、あなた、朝の競歩で吐きかけてたじゃないデスカ。あれの倍は普通に行軍するんですヨ」


「え、まじで。馬でさっそうと行くもんじゃないの?」


「そ、それは偉いひとたちだけ、ですよ。あと、馬は子供のころから乗ってないと、合戦で操ることはできない、ですよ。普通」


「ええ、まじでえ。馬なんて商人から買ってくるだけで乗れるもんじゃないのかよお」


「まあた始まったぶひい。彦助ひこすけの謎理論。ひでよし、ほっとけだぶひい」


「おおい、そこのしゃべってるお前ら、話を聞けい」


 ん、佐久間信盛さくまのぶもりのおっさん、まだ何かしゃべってたのか。


「新入りもいることだろうし、いきなり殺し合えって言われても困るだろ。だから、ちょっと、お兄さん、一計を考えてきた」


 自分で自分のことをお兄さんなんていうのは、どの時代にもいるんだなと思う。まあ、いい。話の続きを聞こう。


「最近、とある寺のやつらが反旗をひるがえしてきてな。関所を設置させろ。土地を返せとうるさいんだ」


「関所?関所なんて寺が設置してどうするんだよ」


「だまって話を聞くんだぶひい。たぶん金がほしいんだぶひい。関所を置いて、そこで通行料をふんだくる気だぶひい」


「ん、どうした、お前。ああ、新入りか。そりゃ知らないだろうな。殿とのは、家督相続してから、支配地の関所を廃止させたんだ。もちろん、寺のやつらのもぶっ壊した。ついでに、不当に領土がでかい寺から土地の徴収もしたしな。寺から恨まれて当然だ」


「え、それって、信長の自業自得じゃねえの?」


「なあに言ってやがる。天下の往来に、勝手に関所つくって、民の金まきあげてんだ。しばかれて当然だろ」


 うわあ。こええ、信長、こええ。先に手だして、歯向かったらさらに殴るのかよ。


「というわけだから、いくさの前準備としてはちょうどいい相手だ。でも、油断するなよ。坊さん相手だと油断するな。歯向かうからには兵力を蓄えてるはずだからな」


信盛のぶもりさま。どれくらいの兵で行く気なんだぶひい?」


「そうだな。古参100の新入り100で、計200と言ったところか。功をあげたやつには恩賞もでる。お前ら、気張っていけよ!」


「は、はい!が、がんばります」


「よおし、その意気だ。出発は1週間後だ。それまでに、きっちり仕上げておけよ!」


 信盛のぶもりはそういうと、去っていった。よおし、手柄あげて出世してやっからな。


「うへえ。これは訓練のあとの残業が確定なんだぶひい。面倒くさいったらありゃしないんだぶひい」


「おい、田中。なんでお前はそんなにやる気ないんだよ。いくさだぞ、いくさ。血沸き肉躍るだろうが」


「鎧の手入れに、兵糧丸の自作。いろいろやることがあるんだぶひい。そういや、彦助ひこすけ。お前、兵糧丸の作り方なんてしらないんだぶひいね」


「兵糧丸って、なにそれ」


 田中はあちゃあと顔をする。あきらかに厄介ごとが増えたという表情がわかる。


「まあ、新入りにそれを教えるのは同部屋の仕事だから、教えるけど、おいしく作れっていうんだぶひい。僕らの合戦中の食事になるんだぶひい」


 俺は昼食を食べながら、田中に兵糧丸について説明を受ける。信長は合戦に関して、行軍の速度を上げるためにも、最初の三日分の自分で食べる分は自分で用意させているとのことだ。


「じゃあ、その三日分を用意しとけば、それ以降は信長からメシがでるのか?」


「そういうことだぶひい。いくさはスピードが勝負を決めることが多いんだぶひい。そのために兵糧丸を作っとくんだぶひい」


 材料は、米粉、そば粉、きなこ。そこにハチミツ、山芋、黒ごま、鰹節を混ぜて、よくこねて、食べやすい大きさにして、最後は蒸すらしい。へえ、この時代には、そばや、きなこがあるのかあ。


彦助ひこすけはたくさん食べるから、たくさん作っとくといいんだぶひい。作り方自体はそんなにむずかしくないんだぶひい」


「あと、彦助ひこすけさんに注意なのデス。信長さまは略奪をすごく嫌っているのデス」


「そりゃ、やられたらたまったもんじゃないしな」


「そうではありません。わたしたちがやるのがダメなんデス。気をつけないと、あとで懲罰をくらういマスヨ。そのための食料持参ですからね」


 なんか、信長は変なルールを設けているんだな。戦国時代なんだからなんでもありだろうに。


「ひ、彦助ひこすけ殿。干飯ほしいい、握り飯、芋がら、味噌、梅干しなんかも準備しておくといい、ですよ」


 なんか色々あるな。でも、芋がらってなんだろう。ジャガイモのことかな。


「じゃ、ジャガイモとはなん、です?えっと、里芋の茎のことです。それを縄状に編んでおくん、ですよ。持ち運びに便利、です」


 あれ、ジャガイモって日本産じゃないのか。そういえば、サツマイモは、海外から薩摩に輸入されてきたから薩摩芋ってテレビでみたことあるな。サツマイモ喰いてえ。この時代には、まだ来てないのかな。鉄砲は伝来してるし可能性はあるかもしれない。


「なんか合戦なのに意外と食べるものの種類あるんだな。遠足にでもいく気分になってきた」


 俺はまだ、自分の現実として、合戦というものをとらえていなかった。だから、この時はまだ浮かれていられたんだ。

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