ー常勝の章86- あれ?俺はいつから人類皆姉妹な思想になってしまったんだ?
「ふう。やっと笑いを抑えきることが出来たわ?まったく、あんな不意打ち、やめてほしいところよ」
「まったくだよー。あたし、まだ少し、お腹がよじれているよー。これで、上手く舞えるか、心配だよー」
ん?舞う?菜々さん、今、舞うとか言わなかった?
「菜々さん、舞うって何?何か踊りを披露してもらえるってこと?」
「そうだよー。巫女舞だよー。巫女なら出来て当然だからねー。椿はどんくさいから、鼓役なんだけどねー」
「う、うるさいわね!私は胸が邪魔で、上手く舞えないだけよ!」
「むー!今のは私に対する性的いやがらせだねー!訴えてやるんだからー!」
「まあまあ。椿さん?菜々さん?いがみあっていては、上手く調子を合わせられないのですわ?巫女舞は、神に捧げる神聖なモノなのですわ?そんな気構えでやってはいけないのですわ?」
風花さんが、椿と菜々さんをたしなめている。うーーーん。さすが風花さんだよなあ。もしかして、熱田神宮では、風花さんは椿や菜々さんの上司役だったりするのかなあ?
「そんなことはありませんわ?私たち3人は同格のぺーぺーの巫女なのですわ。ちなみに、千歳さんは、お守りを売る担当をやっていたりしますけど」
「風花くん?それは言わなくても良いっしー。まるで僕が能無しのように聞こえるんだっしー!」
「ん?千歳ちゃん。熱田神宮では冷遇されてるんかいな?可哀想やなあ。せっかく、こんな合法幼子のような顔をしてはりますのに」
「うふふっ。熱田神宮にお参りにくるひとは、合法幼子が好みの男性もいますのですわ。ですから、その客層を上手く掴むために、千歳さんが、お守りの販売担当を任せられているのですわ」
なるほど。そういう性癖の男は確かにいるもんな。まあ、俺はやっぱりおっぱいソムリエである以上、ご立派なおっぱいも、おしとかやなおっぱいも平等に愛しているから、人類皆姉妹の精神なのである。
あれ?ちょっと、待て。今、俺、おかしなことを考えなかったか?
「なあ、ひでよし。俺って、おっぱいソムリエだったよな?なんで、俺、ご立派なおっぱいも、おしとやかなおっぱいも平等に愛する男になっちまったんだ?」
「そんなの知るわけがない、でしょうが。大体、私にそんな話を振らないで、ください。巻き込まれるこっちの身になってほしいところ、です」
あっ、ひでよしにそっぽを向かれてしまったぞ?あっれー?
「なあ、田中」
「こっちを視るなぶひい。僕を罠にしかけようとしているその魂胆。薄汚いとは想わないぶひいか?」
あっれーーー?いつもなら、ひでよしも田中もおっぱい談義に付き合ってくれるのに、おかしくね?
「彦助さん。女性陣が居ると言うのに、彦助さんのおっぱい談義に付き合うわけがないのデス。彦助さんは、もう少し、時間・場所・機会と言うモノを熟慮するべきデス」
あっれーーー?弥助にまで、俺、注意されてんだけど?なんだよ、お前ら、女性が一緒の部屋にいるだけで、おっぱい信仰を捨てるのか?お前ら、頭がおかしくないか?
「さて、彦助の馬鹿は放っておいて、鼓を店員さんから借りてくるわね。菜々は、ちょっと、柔軟運動でもしていてね?」
「うんー、わかったよー。うーんしょ。うーんしょ」
椿が離席し、菜々さんが座った状態から足を前に出し、腰から上を自分の足先に向かって、身体を伸ばしていく。
「うおっ。菜々さん、見かけによらず、身体が柔らかいんだなあ。俺、それをやっても手の指先がぎりぎり、足の指にかかるかどうかなんだよなあ」
「そう?これくらい、女性だったら誰でもできるよー?ねえ、風花ー、千歳ー?」
「うふふっ。そうですわね。女性は元々、身体が柔らかいひとが多いのですわ。まあ、例外も存在するのですが」
菜々さんは、今度はうつ伏せに寝て、両手で上半身を持ち上げていき、海老ぞりになっていくのである。おお。すごいなあ。よくもまあ、あんなに見事な海老ぞりを出来るもんだなあ?
「そんなに感心しなくても良いよー、彦助くん。さて、柔軟運動もこれくらいでいいかなあー?」
「お待たせ。菜々。準備運動は終わったみたいね?じゃあ、さっそく、巫女舞をやるわよ。楽器が鼓だけだと、少し寂しい気がするけど、仕方ないわ」
「うふふ。笛があれば、私もお手伝いできたのですが」
「笛ならあるやで?わいのを貸しましょうかいな?」
「それはご遠慮させていただきますわ?さすがにひとさまの笛に口をつけたいとは想わないのですわ?」
まあ、当然だわな。それも四さんがべろべろ舐めたであろう笛だもんな。そんなもんに口をつけようものなら、風花さんの唇が汚れてしまうぜ!
「さて、私と菜々の一発芸で、巫女舞を披露させてもらうわよ?」
「では、処女が演ずる、神に奉じる神楽舞ー。お代は視てからで良いよー?うっかり、あたしに惚れたらダメだからねー?」
うん!?今、菜々さん、何て言ったんだ!?処女!?うっそだろ?菜々さん、昔、男を寝所に連れ込んだって言ってなかったっけ!?