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ー戦乱の章61- 俺のライバルは山内一豊

 俺以外にも1国1城の主を夢見るやつがいるとは意外といえば意外だったぜ。なんたって、今の時点で信長は弱小も弱小。1国の大名でもないんだぜ?


 俺のように少しは歴史をかじって転生した者ならともかく、この時点の信長に仕えながら、そんな夢を持てるってことは、こいつはかなりの秘められた才能を持っている気がするぜ!


「なあ、一豊かずとよさん、もしかして、すごい能力を持っていたりするのか?例えば、剛腕で馬ごと敵将を吹っ飛ばすとかさ!」


「はははっ。拙者にそんな腕力はないでござるよ。農家よりは少しだけ良い家に生まれた程度で、特別に槍働きなどできるような才能はもっていないのでござる」


「え?じゃあ、算術が得意とか開墾が得意とか、礼儀作法に通じているとかないの?」


「算術は少しできる程度でござるなあ。それと開墾が得意とは何でござる?ちなみに礼儀作法はさっぱりでござる。所詮、田舎者でござるからなあ」


 算術は少しできるってことは算術レベル1ってところか。俺が昔やったゲームに、今川・氏真うじざね立志伝と言うゲームがあり、その中の主人公のひとりである氏真うじざねは、算術レベル3、軍略レベル1、統率レベル0、礼儀作法レベル3と言ったキャラだったなあ。


 そのゲームでは武将ごとにステータスとは別にスキルってのがあって、レベル0から最大レベル3まであり、そのスキルによって、武将の特色を出そうという試みがされていたんだよな。


 まあ、ぶっちゃけ、金と贈り物でスキルなんざ、カンストし放題なので、ゲーム中盤には特色もくそもない武将に育っちまうんだけどな!


 それは置いといてだ。この一豊かずとよってやつは、算術レベル1のみで1国1城の主を夢見てるわけであるから、相当、12から15歳のころに逃れられない若さゆえの過ちな病気にかかったに違いない。


「まあ、一豊かずとよさんがどんな夢を持っていようが自由だと思うぜ?実はと言うと、俺も1国1城の主になるのが夢なんだ。お互い、切磋琢磨して、夢に近づけるよう、がんばろうぜ!」


「おお。そなたも、拙者と同じ夢を持っているのでござるか。ううむ。これは強力なライバルの出現でござるな!」


「あ、あのお。田中さん。どんぐりの背くらべって、こういう時に使うん、でしたっけ?」


「それは言わないでやれだぶひい、ひでよし。夢を見るのは自由なんだぶひい。現実を知るのはもう少し先でも良いんじゃないぶひいか?」


「ハイ、弥助やすけもそう思うのデス。男と言うものは夢に殉じてこそだと思うのデス。まあ、壁にぶつかるたびに弥助やすけが慰めてもいいのデスケドネ」


「ちょっと待て、弥助やすけ。男が壁にぶつかったときに慰めたり、励ましたりしてくれるのは女性の役目だろ!なんで、そこでお前が代わりを務めることになるんだよ」


「おや?そなたには彼女がいるのでござるか?いやあ、うらやましい。拙者ときたら、彼女のかの字も見当たらない生活でござるよ」


「なんか、一豊かずとよさんって、いい人そうに見えますけど、ずけずけとひとの傷をえぐっていくひと、ですね?」


「僕もそう思ったところだぶひい。一豊かずとよさん。そいつには彼女なんて、産まれてこの方、いないんだぶひい」


「おお、なんと。拙者、これはすまないことを言ってしまったのでござる。いやあ、では、遊女とイチャイチャして、寂しさをまぎらわしているのでござるかな?」


「本当に、このひとって、彦助ひこすけさんの傷口に自然と塩を塗り込むひとデスネ。一豊かずとよさん?彦助ひこすけさんは、この前、遊女とイチャイチャしようとしたら、本番前に、暴発カルピス事件を起こしてしまったのデスヨ」


「おい、ちょっと待てや!その話は、俺たちの中での秘密だって言ってんだろ」


「暴発カルピス?それは何でござる?」


「それはぶひいねえ。初めて女性の肌を見たり、触ったりしたときに、いちもつから濃縮されたカルピスがでるぶひいよね?」


「ああ、アレのことでござるかあ!確かに、拙者も遊女と初めてイチャイチャしたときは、暴発カルピスをしてしまったでござるよ。自分が情けなくて、即刻、部屋から逃げてしまったでござる」


 何だろう。この言い知れぬ、一豊かずとよさんとの親近感は。


「何か、一豊かずとよさんから、彦助ひこすけくんと似たような匂いを感じるでやんすね。このひと、もしかして、ダメダメ男じゃないでやんすか?」


「私も失礼ながら、そう思ってしまい、ました。妄想しない彦助ひこすけ殿って、一豊かずとよさんみたいなん、でしょうね」


 おい、よんさん、ひでよし、聞こえる声量で耳打ちしてるんじゃねえ。大体、俺がこんなダメそうな男と一緒にされること自体が心外だ!


「そういえば、貴殿らの名前を聞いてなかったでござるな。良ければ拙者のライバルとなる男たちの名前を聞かせてほしいでござる」


「な、なんか、ライバル扱いされてしまったの、ですが。まあ、それは置いといて、私はひでよしです。顔が猿に似ているため、猿って言われることがありますが、一豊かずとよさんがそれを言うのなら、槍で刺し、ます」


 なんだろう。いつもなら怒る程度で済ませるはずの、ひでよしが、一豊かずとよさん相手だと槍で刺すとか言ってるんだけど。もしかして、一豊かずとよさんって、男としてかなりダメな奴に見えてるのか?

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