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ー戦乱の章40- 武士の鎧に詳しくなろう

「で、話を戻して、武士の鎧の話だよ。よんさんは何かその辺、詳しいんだろ?説明してくれよ」


「せやった、せやった。話が横道にそれてたから、すっかり忘れてたんやで。で、武士の鎧のことはわからへんけど、足軽の鎧は、最初は皮と布と木の板で作られた簡素なやつやったんやで?」


「へー。じゃあ、てことは、足軽の鎧に鉄を使い始めたのはここ最近なわけ?」


「せやなあ。鎧に鉄を使い始めた時期までは、よー知らんが、さっきもちらりと言ったでやんすが、足軽というか、下級兵士が武将と一緒に戦いだしたのが、応仁の乱のわけなんやな?」


「そうなんだぶひい?でも、源平絵巻には下級兵士っぽいものが描かれてるぶひいよ?」


「あれは、武将の付き人であって、戦闘はほとんどしてないって聞いたんや。あの当時、武将同士が一騎打ちしてたのは、そのためもあるらしいんやで?」


 ふむふむ。そうなのか、勉強になるなあ。よんさんは意外と歴史通なんだなあ。


「お前ら、何をくっちゃべておるでござるか。さあ、出発でござるぞ。さっさと列に並べ」


「あ、塙直政ばんなおまささま。ちょっと、武士の歴史について、皆で話あっていたんだ。すいません、すぐに並びます」


「ほう、下級兵士の割りには、そういうことに関心を持つとは、なかなか見どころのある奴だな。行軍中で良ければ、拙者が少し、解説してやろうでござる」


 お、ラッキー!足軽50人長の塙直政ばんなおまささまなら、よんさんでは知らないことをたくさん聞けそうだぜ。


 信長の軍は一路、清州きよすの城へ行軍を再開することになる。そこで、俺たちは塙直政ばんなおまささまに付き従って、彼から色々と武士の歴史について、かいつまんでだが、聞くことになる。


 当然のことだが、塙直政ばんなおまささまは、幼いころから馬の訓練を欠かさずやってきたらしく、馬に乗っての行軍だ。俺たちは置いていかれないように、速足でついて行くことになる。


「で、お前ら、何が聞きたいでござるか?」


「えっと、話の発端は、俺が信長の鎧を見て、源平時代のものとあまり変わり映えしないなあと思ったってことを皆に話したんだ。そしたら、皆、よくわからないってことになってさ」


 俺の言いに塙直政ばんなおまささまがふむと息をつき、右手であごを触りながら


「なるほど。殿とのの鎧でござるか。と、そのまえに、ちゃんと【さま】をつけておけ。いくら百姓からの出とはいえ、しゃべり方に難があるのは、上を目指すものとしてはいささか、感心できぬぞ?」


 おっとしまった。つい、ひでよしたちと話してるつもりで、しゃべっちまった。田中の言う通り、俺は少ししゃべり方を直したほうがいいのかもしれない。


「すいません、気を付けます」


「うむ、まだ若いゆえ、今の内から気をつければ良かろう。でだ、武士の鎧については、形、見た目については源平時代のものを踏襲しているのでござる。だが、皮や木の小札部分を鉄製にしたりしているわけでござる。あと、軽量化もしているでござるな」


 ふむふむ、なーるほど。


「兜につける立物?っていうやつだっけ。あれはやっぱり何か意味があるんですか?」


「あれは、将それぞれでござる。大将などは、自分の家を象徴するようなものをつけるのでござる。例えば、殿とのの場合はくわ形立物の中心にいつ木瓜もっこうをあしらえているのでござる。殿とののお家ではあれは家紋でござるからな」


本多忠勝ほんだただかつだっけ。あれは確か大鹿角ってやつだったけど、家臣は何をつけてもいいんですか?」


本多忠勝ほんだただかつ?聞かぬ名でござるな。三河の本多忠高ほんだただたかどのご子息でござるかな?まあ、それは置いておいて、家臣となれば、基本、好きなものをつけるでござるな。三日月、日輪、三つくわ形、半月など色々あるでござる」


「じゃあ、僕らでも、兜を身に着けて、好きな立物をつけていいんですかぶひい?」


「はははっ、そうでござるな。特に、殿とのからはお叱りを受けることはないでござろう。しかし、そのためにはまず出世をしてもらわねば、兜武者にはなれるでござるよ?」


「ああ、そうだったぶひい。僕らはまだ一番下の下級兵士だったぶひい。額当てから卒業しなきゃならんぶひいねえ」


「でも、額当てに立物をつけるってのは、禁止されてないんでしょう?ばんさま」


「うーむ。確かに禁止はされてはないが、果たしてどうでござるかなあ?ちなみに、立物自体は紙や軽い木で作られているから、額当てにも充分、つけれることはつけれるでござる」


「へー。頑丈な木とか、鉄でできてるもんだと思ったのに、違うんですね。てっきり、取れないようにがっしりと装着するものかと思った」


「はははっ。よくよく考えてみるでござる。頭に突起物がついているのでござるぞ?お前は敵と乱戦になったときに、相手の頭に掴みやすそうなものがあったら、どうすると思う?」


 俺は塙直政ばんなおまささまにそう言われ、あっという表情になる。


「そうか、頭にそんなもんあったら、掴んで引き倒しちゃうかな!それで、掴んでも紙とかなら、すぐ破けるから問題ないってことですね」


「そういうことでござる。お前もひとつ、賢くなったでござるな。まあ、額当てに何か立物をつけたかったら、つければいいでござる。きっと、目立って、殿とのの覚えもよくなるかも知れないでござるなあ」

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