表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
134/364

ー戦乱の章 6- お日様の不可思議

 時刻は夕暮れ5時を回ろうとしていた。7月のせいかお日様はまだ地に隠れておらず、辺りはまだ明るさを見せていた。


 俺はこのお日様が地に沈んで行き、1日が終わろうかと言う、その瞬間が1番好きだ。


「そういや、この時代って天動説なの?地動説なの?」


「天動説って言う言葉自体がわからないの、ですが?彦助ひこすけさん、それはどこの国の言葉なの、ですか?」


 ひでよしがそう疑問を投げかけてくる。あー、そういう言葉の概念すらないのか、この時代は。と言うことは天動説で間違いないんだろうな。


「あー、なんて言うか、天竺の言葉だったかな?うんうん。そのなんて言うか、お日様がこの大地の周りをぐるぐると回っていると言うかあ」


彦助ひこすけは一体、何を言いたいんだぶひい?お日様が東の海から昇って、西の果ての天竺で沈むってことくらい、僕にだってわかっているんだぶひい」


 そういうことを議論したいわけじゃなくて、うーん、困った。地動説を説明しようにも、それを確かめる方法論を俺は知らないから、また妄想乙と言われるだけだしなあ。


弥助やすけは、ひのもとの国から西にある天竺のさらに西からやってきたのデス。お日様はヨーロッパの西の海に沈むのデスヨ」


「あれれえ?西の果ては天竺ちゃいますの?わい、ひのもとの国から西はからの国と天竺だけだと思ってましたやん。その先にも国があるんでっか?」


よんさん、そのとおりデス。弥助やすけも詳しくはわかりまセンガ、奴隷船の船員さんたちがインド、すなわち、ひのもとの国で言うところの天竺より西にヨーロッパがあると言っていたのデス」


「ほんまでっか?じゃあ、弥助やすけくんみたいな黒い色の肌をした人間だけの国と言うものも、もしかしてあるんやろか?」


「そうデスネ。国としての単位ではわかりませんが、少なくとも、ワタシの産まれた村の住人は、すべて黒い色の肌デシタネ。逆にヨーロッパに奴隷として連れていかれたときに、世の中には白い肌の人間だらけの国があることに驚いてしまったのデス」


「で、では、赤い色の肌とか青い色の肌の人間が治める国なんてものもあるんで、しょうか?」


「さあ?弥助やすけが見てきた国の中では、白と黒とひのもとの国の薄い茶色くらいしか見たことはありマセン。でも、世界中を旅してきたわけでもないので、実際は、色とりどりな肌の人間がいるのかもしれマセン」


 うーん、俺もそう言えば、肌の色の違いというか種類分けについてはよくわからんなあ。テレビでも青色の肌の人間は見たことがないから、それは居ないとは断言できる。そんなの居たら、絶対に大スクープものだしな。


 しっかし、ひのもとの国やからの国、ようは日本と中国だ。この周辺の肌の色は学術的?には黄色だって言うけど、どこをどう見たら黄色に見えるんだろな?その学者たちの眼は色覚異常だったのかと疑わざるおえないぜ。


「話をもどすんだぶひい。弥助やすけの産まれた国でも、お日様は東から昇って、西から沈むんだぶひい?」


「はい、そうデスヨ。言われてみれば、不思議な話デス。なぜ、お日様は東から昇って、西から沈むんでしょうか?沈んだところからまた昇ってくれば、手間もかからず楽だと思うのデスヨ」


「そうぶひいねえ。お日様だって、大地の下を通って、また、東から顔を出すのは面倒ぶひいよね?なんで西からまた昇ってこないんだぶひい?」


 そりゃ、地球が自転してるからだって言っても通用するわけがないから、説明のしようがないんだよなあ。


「きっと、お日様が自分で決めたるーるなんじゃないんで、しょうか?私は絶対に東から昇ってやるんだぞおおおと、遥か大昔に自分に誓ったのを守っているの、では?」


「それは融通の利かない、お日様でやんすね。わいがお日様やったら、めんどくさがって西に沈んだ次の日は西から昇ってまうやんか」


「季節によっては、長くお日様が昇っているときもあれば、短く沈んでしまうときもあるぶひい。結構、お日様はさぼり癖があるくせに東から昇るのだけはきっちり守るのが変なんだぶひいよね」


 自転と公転がわかれば、理解できる話であって、決して、お日様がさぼっているわけじゃあないぞ?でも、この時代の人間にそれを証明する方法を持ち合わせてないので、いらないことは言わないでおこう。俺だって、原理を学校で習っただけなんだしな。現代の人間が常識として考えているだけであって、それを証明しろと言われたら、それに応えられる人間なんてほんの一握りだと思うぜ?


「不思議な話、ですね。考えれば考えるほど、謎が深まるばかりなの、です」


「そう言えば、弥助やすけがひのもとの国に来て驚いたことがありマス」


「ん?それはなんだぶひい?」


「ひのもとの国はお月様が満月から、次の満月になるまでをおおよそ1つきとしていることデスネ。ヨーロッパでは、太陽が365回、東から昇ったら1年で、それを12分割しているのデス。ちなみにヨーロッパの1つきは多い日で31日、少ない日ですと28日だったりするのデス」


「ん?それってわかりにくくないでやんすか?1つき、30日と考えた方がめっちゃわかりやすいですやん。なんで、よーろっぱはそんなわかりにくい1つきにするんや?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ