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Force  作者: 本願寺 裕真
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Epilogue

10月某日。


Forceから2ヶ月の月日が過ぎた。


岸谷はいつものように得意先に向かい、日々の仕事をこなしている。


相変わらず世間は不景気で、暗い話しか聞かない。


以前なら暗い気持ちのまま次の日を迎えるがあの日から何が変わった。


大切なものを守る為には命懸けで必死になれる。


今日はみんなと約束している。もう行かなくては・・・



香織は相変わらず、景気どん底の住設業界の企業で営業事務をしている。


もちろん来島千夏も一緒に。


ただForceが終わり、1つだけ変わった事がある。


相島がこの会社を今月いっぱいで退社する事が決まった。


相島はやはり、古い考えの未だに過去の栄光を引っ提げ、


その亡霊に取り付かれた上司にはついていけないようでこの会社を去る。


相島の退社は大きな打撃で、無能な上司は当初引き止め工作をするが、


都合のいい上司に更に相島は愛想を尽かす。


更に退社が決まると、上司の対応は一遍。


露骨に嫌味をいう始末。


流石にこの行為に社員から不満があがり、


これから半年後、この上司は会社を去る事となったのだが。


『相島さん、頑張ってね。』


香織はそう言うと、


『ありがとうな、信頼ある仲間だよ、みんなはずっと。』


まだ一緒にやる事がある。4人で一緒に・・・



『ねぇ、ちゃんと聞いてる?』


『えっ、何?ごめん。』浩平は慌てている。


夏休みが終わり、あれから2ヶ月が過ぎた。


言い訳かも知れないが、あれから何も手につかない感じだ。


もちろん勉強も。


来年はいよいよ大学受験で今は遥がマンツーマンで、


徹底指導してくれている。


『本当にやる気あるの?』


遥はあれ以来、本当に強くなった。


自分の主義主張を言えるようになった。


『遥、強くなったな。』


『えっ、いきなり何よ。』遥は浩平に見つめられ照れている。


『よっ、お二人さん!』


少し離れた場所から、大柴健吾と佐々木優子が声をかける。


『相変わらず、ラブラブね!』優子が遥に言う。


『そっちこそ!一緒に勉強する?』遥が笑顔で言う。


『遠慮しておくよ、浩平だけで精一杯だろ?』健吾は慌てて返事をする。


『行くだろ?浩平。』健吾は浩平に言う。


『もちろん、行かなきゃ終わった感じがしない。』


また4人が集まる。



『皆さん、お久しぶりです。』


グローバルTVの田中雅美がForce参加者全員を迎える。


『田中さん、番組見ましたよ。』岸谷が雅美に言うと、


『ありがとう!どうでした?あっ、菜月ちゃんかな?はじめまして!』


『はじめまして!』岸谷菜月が奈緒子の横で挨拶をする。


『よかったですよ、私達は生き字引ですからね。』永田一幸がそう言うと、


『そうですね、しっかり私達が見届けないと。』大友も言う。


『では皆さん、行きましょう。』


田中雅美はグローバルTVのクルーを連れて全員で船に乗る。


またこの場所に戻ってきた。今度は違う。


この島をもとに戻す為に。


『グローバルTVの田中です。今、私はあの裏切られた島、

千石島に再び来ております。そして、あのForce決勝大会に

参加していました皆さんが、またこの島に戻って来られました。

この島の無くしたものを取り戻す為に。』


恭介が残した100万円で、この島に彼らの功績を、


残そうと岸谷が最初に言い出した。全員同じ気持ちだった。


生き字引として自分達は存在しているが、


この事を後世にも伝える為に・・・


今日はその除幕式が行われる。


グローバルTVの田中雅美はそれを見届ける為に、


再びこの島にやってきたのだ。


そしてこの島は今では無人島ではなく、現役をリタイアした


団塊世代の人々がTV放送での真実をきっかけに


移り住んでいる。今では約200名の島民が、


Forceの参加者を出迎えている。


『では、皆さん。お願いします。』


12人が白い幕を一斉にひく。


白い幕の下から、高さ50cmくらいの御影石が出て来た。


御影石の裏には、この島の自然を愛する言葉と、


川嶋栄一、愛美、恭介、槙野徹の4人の名前が刻まれている。


表には、『信頼の島へようこそ』と深く刻まれている。


この島を自然をいつまでも見つめる為に・・・。

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