最後の晩餐
『決勝にご進出の3組の皆様、おはようございます。
いよいよ決勝戦のはじまりです。』と
予選の時の司会者が3組へ声をかける。
ただ以前とは違うのはTシャツを着ているのではなく、
立派な黒いタキシードで現れた事である。
『皆様お集まりでしょうか?決勝の舞台にご案内致しますので、
あちらに停泊してます遊覧船にお乗りください。』と言う。
3組はそれぞれ司会者の男性に着いて行き、
豪華客船に乗り込むと船内の中央部へ案内される。
中央部は約50畳はありそうな大広間で
天井からは豪華なシャンデリアが吊り下がっており、
更に円卓が5脚、全て真っ白なテーブルクロスの
上に綺麗な皿が並んでいる。
『ようこそ決勝の舞台へ、既に勝負は始まっています。』
司会者の替わりに予選で誘導してくれた
紺色のスーツの男性が部屋の中央で待っていた。
『皆様、申し遅れましたがこの度の
フォース主催者であります、本多圭介です。』
全員驚きを隠せない。
まだ20代後半くらいのこの男性が主催者だったのか?
岸谷がこの大会のスタッフだと思っていた男性が
まさか主催者だとは。
香織は年齢も私達とあまりかわらない彼が主催者なんて。
参加者の全てが彼に対して驚きの表情を見せている。
『朝食はお済みでしょうか?これからの決勝に備えて、
ビュッフェを用意しております、
朝食でもしながらしばらくお待ち下さい。』
彼はにこやかな表情でそう言うと一礼し、
室内のビュッフェコーナーに3組を案内した。
『グローバルTVのクルーの皆さんも是非どうぞ。』
本多圭介は田中雅美をはじめクルー全員も招待した。
『お腹ぺこぺこ。』
健吾と優子は並べられた料理に飛びつきそうな感じだ。
『美味しそう。』と嬉しそうにしている由子と奈緒子。
『先輩、朝食抜いてよかったっすね。』と
相島と大友が目をキラキラさせている。
焼きたてのパンに、スクランブルエッグ、ベーコン、ヨーグルト、
和食もずらりと並んでおり、まさにホテルで食べる朝食に
豪華客船でのクルーズ。
参加者は皆、これから始まる戦いの前に舌鼓をうった。
その光景を見つめる圭介は笑みを浮かべ心の中で呟く。
『最後の晩餐と思って、味わうがいい。』




