参加者、山本香織(26歳)の場合。
『Forceが終わると、何だか無性に涙が出た。涙が止まらなかった…』
『なんか面白い事ないかなぁ?先週の合コンもたいした事なかったしなぁ!』
『先輩ってハードル高いんじゃないんですか?この前、誘われていたじゃないですかぁ?』
1歳下の後輩の来島千夏が香織に声をかける。
香織も千夏も某住宅機器メーカーの営業事務をしている。
最近の住宅業界を取り巻く状況がボーナスにも反映しており、
香織の財布の中も既に秋風が吹いている。
お小遣い程度のボーナスでは旅行も行けず、この業界も
そろそろ終焉かとも思い始めている。
『山本さん、これ発注お願いしますね!』
香織と千夏の会話を遮る様に声をかけ、営業の大友裕二が
発注伝票を香織の机に置いていく。
香織が発注伝票を見て、ため息をつくと
『元気ないっすねぇ!何かあったんですか?』
香織の顔を覗き込むようにして大友裕二が見つめる。
ため息まじりの香織の替わりに、千夏が大友に声をかける。
『大友~、香織さんは今、心も財布も秋風が吹いてるのよ!
あんたは相変わらず能天気ねぇ!』
『何だよ、来島。お前こそ能天気じゃねぇ~か。
そうそう山本さん、心の中の秋風は止められないけど、
財布の中の秋風は吹きおさまるかも?』
大友は香織に1枚のチラシを渡した。
『優勝賞金100万円、決勝大会参加者全員にも賞品があります。
男女4人1組参加(男女各2名)』
『何これ?大友あんたこれに参加するわけ?』と
来島千春はチラシを覗き込んで言うと、
『相島先輩から貰ったんだよ、相島先輩と俺と一緒に
参加してくれる人探してるんだよ。山本さんどうですか?』
相島洋介…彼は香織が新入社員で入社した時から
よく面倒みてくれた先輩である。
今でも頼りにしている社内で一番信頼できる先輩。
『何か面白そうだね、参加しちゃおうかな?千夏も一緒にどう?』
香織は千夏に声をかける。
『じゃ、参加OKっすね!来島はどうする?』
大友は嬉しそうに来島千夏を見て話しかける。
『香織さんも参加するなら、私も出るよ!大友、申し込んでおいて!』
『つっ~か、来島、人使い荒いなぁ!わぁ~たよ!
相島先輩にも報告しておくよ。』
そう言うと大友は営業部のデスクに駆け出した。
『信頼ある4人で宝を手に入れましょう。』