迫りくるタイムリミット
『おい、大丈夫か?気分でも悪いのか?』
しゃがみ込んで俯いている優子にすらりと
日焼けした男性が声をかけてきた。
『大丈夫です。』
か細い声で答えるのが精一杯の優子。
『大丈夫?』
年上の色っぽい女性が浩平に話しかける。
浩平はため息混じりで、
『えぇ、大丈夫です、1次通過されたんですか?』と返事をすると、
後ろに立ってる大柄な男性が『何とかね!』と笑顔で答える。
『もう探さないの?』と続けて大柄な男性が声をかけると、
遥が『もう間に合わないと思うし…』と言うと俯いた。
『先輩、残り2通ありますよね?もう必要ないし彼らに渡したら?』と
大柄な男性が言うと、『いい事言うじゃん』と
小さくてかわいい女性が言い、大柄な男性の背中を叩く。
『はい、これどうぞ。』
さっき浩平に話しかけてきた女性が封筒を渡す。
しかももちろん未開封。
『良いんですか?』
浩平はその封筒を受け取り聞き返す。
『えぇ、どうぞ』と言うとにっこりと笑う。
4人は先程までの落ち込みが嘘のように、
すっと立ち上がり御礼を言う。
『健闘を祈るよ。』と最初に声をかけてきた
男性が言うと、その人達はその場から離れていった。
『まだ可能性はある、しかもチャンスは2回。』
浩平達は封筒を握りしめ駆け出した。
本日2回目の会場は最初に来た時よりは人は少ないが
緊張感は今のほうが数10倍も上である。
残る席は5つ、浩平達が会場に入った時には10脚の
テーブルは既に埋まっており、これが間違いなくラストチャンス。
『よし!』
『やった!』
浩平達が並んだ時に2つのテーブルから声がした。
あと3組、ここでミスをしたらもう終わりだ。
5分間が今までになく長く感じた。
前に1組いるが彼らが解答が終われば席に座れる、まさに綱渡り状態。




