表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/14

第13話「今度こそ村おこし」

 村が溶岩に飲まれます。

 コンちゃんの能力でダムを作って、そんな溶岩をストップ。

 でも、村が溶岩に飲まれて、コンちゃんの祠も沈みます。

 コンちゃんすすけて、ちっとも動きません。

 コンちゃん死んじゃうの?


「起きろっ!」

 まだ真っ暗なのに、いきなり起こされました。

「は、はい?」

 真っ暗な部屋に店長さんの真剣な顔。

「店長さん、まだ眠いです」

「いいから、起きて、コンちゃんも起きて!」

 店長さんコンちゃんを起こしてます。

「何をするのじゃっ!」

 あ、コンちゃんの寝起きは危険です。

「早く家を出てっ!」

「え!」

 窓の外、なんだか赤い。

「噴火がひどくなったんだ!」

「え!」

 わたしとコンちゃん、一緒になって窓の外を見ます。

 山のてっぺんの火柱がすごい事に!

 今まで一本しかなかった火柱が何本も上がってます。

 それに火柱の高さも、なんだか高くなってるみたい。

「ミコちゃんは?」

「あ、ミコちゃんは押し入れです」

「なんで?」

「社に帰りたくないって、押し入れに篭ってます」

「もう」

 店長さんムスっとして押し入れを開けます。

「ミコちゃん起きて!」

「お、起きてます!」

「早く逃げるんだ!」

「嫌です、それは私を社に帰す作戦です」

「もう!」

 店長さん怒ってミコちゃんの腕をつかまえました。

 そのままお姫さま抱っこ。

 いいなあ、わたしも今度、あの手を使おう。

「ポンちゃんもコンちゃんも早く出ろっ!」

 店長さんの声にわたし達、家を出ました。

 流れて来た溶岩が村を飲み込もうとしてます。

 お店はもう、溶岩に飲まれちゃいました。

 わたしたちギリギリセーフ。

「ミコちゃん!」

 店長さんの大きな声に、ミコちゃん小さくなってます。

「ミコちゃん噴火を止めて!」

「え、えっと、出来ないんです」

「な、なんで……」

「その、昨日帰れって言われた時からもうどうにもならなくて」

「え……昨日言ったから、あんなになったの?」

「店長さん私の気持ち全然わかってません! あそこは寂しいんです!」

 店長さんが黙っちゃいます。

 代わりにわたしが、

「ミコちゃん、あれ、止められないんですか?」

「なんだか昨日思い切り泣いたら地脈が押さえられなくなって……」

 村にも溶岩が迫ります。

 コンちゃんが、

「ポン、おぬし村人を起こして回るのじゃ! 避難させるのじゃ!」

「うん、コンちゃん、でも、どこに?」

「公民館でよかろう、ミコも……」

 みんながミコちゃんを見ます。

 でも、ミコちゃん小さくなってて、とても使い物にはなりそうにないです。

 ともかく村の人達を避難させないといけません。

『助けて!』

 あれ、なんだか頭の中に声がします。

『助けて、タヌキさん!』

 あ、これはご神木さんです。

 駐車場の隅に植えられたご神木さんにも溶岩が迫ってます。

 わたし、とりあえずスコップで掘り起こして、バケツに入れて脱出。

「ポン、なにをしておるのじゃ!」

「コンちゃん聞こえないんですか?」

「?」

「わたし、ご神木さんの声が聞こえます」

「木がしゃべるものか」

「わたしには聞こえるんです」

 ミコちゃんがわたしを見ながら、

「ポンちゃんはこの木と話が出来るのですか?」

「うん、なんだかわたしには声が聞こえるみたい」

「この木はなんですか?」

「うん、村のご神木の枝なの」

 ミコちゃんバケツに入ったご神木の枝を見ながら、

「この木なら、私の代わりに山の神ができます」

「なら、わたし、この木を植えに行って来る!」

 みんなの目が、溶岩だらけになった村に、そして流れの先に向けられます。

「うむ、わらわもダムを完成させて溶岩を止めてみせよう」

 コンちゃんの体からオーラ。

 空をふわふわとダンプや岩、瓦礫が飛んでいきます。

 店長さんは視線をミコちゃんに向けると、

「じゃ、俺とミコちゃんは村の人達を公民館に誘導」

 役割分担完了。

 わたし、頑張って山に登ります。

 早くしないと全滅だもん。


 近くで見る噴火は迫力満点です。

 とりあえず社の近くに穴を掘ってご神木さんを植えなおす準備。

「ねぇ、ご神木さん」

『なんですか?』

「ご神木さんは、山を鎮める事ができますか?」

『はい、でも……』

「でも?」

 ご神木さんの言葉に、なんだか嫌な予感。

 穴掘りやめて振り向いたら……

 噴火の火柱が龍みたいになってます!

 ああ、炎の龍さんがわたしの方に来ました。

 熱いですよ、狸汁も嫌だけど、このままじゃ丸焼きです。

「あ、熱いから来ないで!」

「狸娘よ、何をしておる」

「噴火すると村が全滅で困るんです」

「ふむ……それで我を封じようと?」

 あ、炎の龍さん、一度は止まったけど、じりじり近付いて来ます。

「だ、だってわたし、店長さんに恩返ししないといけないんです」

「ふむ……それで我を封じようと?」

 とりあえず炎の龍さん止まってくれました。

「噴火……炎の龍さんも最初はよかったけど、村が……お家が燃えたら夜寝るところがなくなっちゃいます」

 って、もう、焼けちゃいました。

 そう思うとついつい涙がこみあげてきちゃいます。

「狸娘よ、私もこう、封じられてばかりではうんざりなのだよ」

「噴火ばっかりでも困ります」

「知らぬ」

「わーん!」

 炎の龍さんじりじり接近。

 わたし、バケツinご神木さまに抱きつきます。

『地の神よ』

「うむ、おぬしは森の神!」

『わたしはこの狸娘に助けられた……それに免じて』

「で、我は封じられてしまえと?」

 炎の龍さん、首を伸ばしてきます。

 はわわ、わたしもうチャーシュー状態。タヌキなんだけど。

『わたしに良い考えがある、みなが喜ぶ考えじゃ』

 炎の龍さん止まり、そしてゆっくり後ずさり。

 ご神木さんが、

『温泉になって沸くのじゃ、それなら皆、喜ぶ』


 わたし、ご神木を植えて村にバックホーム。

 ご神木さまの名案で噴火も収まりましたよ。

 でも、村に近付くと、溶岩だらけ。

 ダムは真っ黒で湯気が立ってます。

 溶岩は完成したダムでストップ。

 さすがコンちゃんパワー。

「店長さーん!」

「ポンちゃん!」

 村のみんなは、村外れの高いところ、公民館にいました。

「店長さん、噴火が止まりました、ご神木さんのおかげです」

 作戦大成功です。

 えい、店長さんの腕に抱きついちゃえ。

 これだけ頑張ったんだから結婚するしか。

 店長さん嫌って言ったら、もう女の武器で勝負です。

「ポンちゃん……」

 あ、でも、なんだか店長さんの顔、そんな雰囲気じゃないです。

 店長さんの腕にはコンちゃんがぐったりしてます。

「店長さん、コンちゃんどうしたんです?」

「コンちゃんの祠、溶岩に沈んじゃったろ」

「!!」

「ダムが出来たらコンちゃん死んじゃうって言ってたじゃん」

「そ、そんな……」

「祠、溶岩に沈んじゃったから……」

 コンちゃんすすけて、ちっとも動きません。

「コンちゃんっ!」

 わたしが揺すったら、まぶたがゆっくり開きます。

「ポン……楽しかった……店長……」

 コンちゃんの手が、店長さんの腕をつかみます。

「最後に……キスして……」

 もう、かすれるような声。

 わたし、店長さんを揺すっちゃいます。

 最後にキスしてあげて!

「店長……」

「コンちゃん……」

 店長さんとコンちゃんが近付いていきます。

 コンちゃんが死んじゃう前に早くキスしてあげて!

 わたし、涙うるうるしていると背中をトントンされました。

 見ればミコちゃんが首を傾げてます。

『どうしたんですか?』

 小声のミコちゃん、わたしも、

『コンちゃんは祠が沈んだから死んじゃうんです』

『え?』

『だから村にあった祠が沈んだから……』

『この間ポンちゃんが持ってきた人形は何だったんです?』

 そういえば、そんな事もありました。

 どっちが正解なんでしょう?

「こりゃ、ポン、今のひそひそ話、聞こえたぞ」

 もうキスまで十センチくらいのところで、コンちゃん怒った顔してます。

「あ、わたし、祠のお稲荷さま壊したから、ミコちゃんの社で直してもらってる最中だったんです」

「くっ、具合が悪いと思ったら、そんな事がっ! あっ!」

 店長さん、コンちゃんを抱いていた腕をほどいてます。

 コンちゃん地面に落ちて、なんだか頭打って「ゴン」なんて音が。

 頭を押さえたコンちゃん、痛みに体をくねらせてます。

 店長さんこめかみに怒りマークが浮かべて、

「コンちゃん今の、お芝居?」

「う、うう……」

「ミコちゃんのせいで、村は全滅……」

「ほほほ……」

 コンちゃんとミコちゃんの株暴落。

 わたしの成績はほっといても……

「ぜーんぶ、ポンちゃんが来てからだよね?」

「え!」

「ポンちゃんが来てからコンちゃんも来たし……」

「そ、そんなぁ~」

「お稲荷さま壊して、結局ミコちゃん連れて来たのもポンちゃん」

「うう……悪気はなかったんです」

「もう山に帰って……」

 わたしと店長さんの間に、いなり寿司が差し出されます。

「命が無事だったんですから、もういいでしょう」

「……」

「わたしが炊き出しで作ったんです、おにぎりもありますよ」

 ミコちゃんが笑っています。

 早速コンちゃんが飛びついて、

「きゃーん、いなり寿司!」

 わたしも店長さんもつまみます。

 甘くて美味しいですよ。

 みんなで黙々と食べました。

 村の人達も、ミコちゃんお手製を食べて泣くのも忘れてます。

 でも……

「なにもなくなってしまったねぇ」

 隣にうずくまっていた豆腐屋のおばあちゃんがつぶやきます。

 その瞬間、また地面が揺れました。

 公民館の脇に大きな水柱。

 みんなびっくりして声を上げて、そんな水柱を見上げます。

 落ちてくる水は……温かい……お湯ですよ。

 店長さんわたしの頭を撫でてくれながら、

「この間、温泉でも出れば……って言ってなかったっけ?」

「!!」

「この温泉で、村おこしできるかも知れない」


 温泉で村おこし。

 パン屋さんも復活しました。

 店長さんはパン工房。

 ミコちゃんは家事当番。

 コンちゃんはテーブルでお茶。

 わたしはレジで頑張ってま~す。

 みなさんも、山のパン屋さんにいらっしゃいませっ!


村はとりあえず大丈夫でした。

でもでも、わたしの恋は成就してませんよ。

ここはじっくりしっかり店長さんのハートをゲットするしかないでしょう。

コンちゃんのホームスチールには要注意なんだからっ。

って、なにかにおいます、新たな敵キャラ登場の予感ですっ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ