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悪役令嬢は嫌われることにした ~嫌われても辺境で黒字を出す~  作者: 桐谷ルナ


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25/25

第25話 継続

 春は、静かに来た。


 王都の市場には穀物が並び、価格は安定している。


 備蓄義務法は正式に可決され、

 徴税制度は透明化され、

 市場安定基金は常設となった。


 派手な祝賀はない。


 だが混乱もない。


 国家は、続いている。


 ——


 レヴァン領。


 城館の帳簿には黒字が並ぶ。


 備蓄は十分。

 兵士の給与は遅れず、

 医療は機能し、

 教会との協定も維持されている。


 広場では、子供たちが走り回っている。


 歓声はない。


 だが不安もない。


 私は塔の上からそれを見ている。


 セドリックが隣に立つ。


「支持率は回復傾向です」


「気にしない」


「王都では、あなたを危険視する声もあります」


「慣れている」


 彼は小さく笑う。


「王太子は続いています」


「ええ」


「支持は高くない」


「継続している」


 沈黙。


 遠くの地平線に王都の影が見える。


「あなたは勝ったのですか」


 セドリックが問う。


 私は首を振る。


「勝敗ではない」


「では」


「制度が残った」


 彼は静かに頷く。


「私はあなたを赦さない」


「知っている」


「ですが」


 彼は続ける。


「私はあなたを信頼する」


 それで十分だった。


 広場の片隅で、誰かが小さく言う。


「冷たい領主だ」


 別の声が返す。


「だが飢えない」


 それでいい。


 私は人気を得なかった。


 称賛もない。


 だが冬を越えた。


 王都は割れず、

 辺境は崩れず、

 軍は暴れず、

 恐怖は制度にならなかった。


 私は静かに呟く。


「人気ではなく、継続を」


 春の風が吹く。


 悪役であることは変わらない。


 だが国は、続いている。


 そしてそれでいい。

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。


この物語は、

「冤罪で断罪された可哀想な悪役令嬢の逆転劇」ではありません。


主人公アレクシアは、実際に増税を承認し、辺境を切り捨てました。

彼女は被害者ではなく、加害者でもある立場から物語を始めています。


だからこそ、この物語で書きたかったのは――


「それでも逃げなかったら、どうなるか」


という問いでした。


悪役令嬢というジャンルは、

ざまぁや逆転劇が魅力の一つです。


けれど私は、


・嫌われたまま終わる主人公

・正しくはないが、一貫している主人公

・人気ではなく“継続”を選ぶ統治者


を書いてみたかったのです。


アレクシアは最後まで、

愛される統治者にはなりませんでした。


ですが、


・制度は残り

・国家は割れず

・個人は切り捨てられなかった。


それで十分だと、彼女は判断しました。


その結末を、読者の皆さまがどう受け取ってくださるのか。

それがこの物語の最後の問いでもあります。


王太子エドガーは、

愛されたい王でした。


レナードは、

恐れられる国家を目指しました。


アレクシアは、

継続する国家を選びました。


どれが正しいかは、作中では断定していません。


ただひとつ言えるのは、


国家は理念で揺れ、制度で続く。


それを書き切れたなら、作者としては本望です。


最後に。


この物語を最後まで読んでくださったあなたは、

きっと「ざまぁ」だけでは満足しない読者だと思います。


静かな物語を、最後まで追ってくださったことに心から感謝します。


またどこかで、

少しだけ冷たいけれど、逃げない物語でお会いできたら嬉しいです。


本当にありがとうございました。

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