表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は嫌われることにした ~嫌われても辺境で黒字を出す~  作者: 桐谷ルナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/25

第21話 強硬派の笑み

 レナード・ヴァイルは、噂より若かった。


 三十代半ば。

 整った軍服。

 感情を削ぎ落とした目。


 王城の小会議室で、彼は私を値踏みするように見た。


「辺境の調停者殿」


 声は穏やかだ。


「国家に随分と口を出される」


「国家の一部です」


 私は座る。


 王太子は同席していない。


 それが意味するものは明白だ。


「王太子は理想家です」


 レナードは続ける。


「理想は尊い。だが国家は理想で動かない」


「同意します」


「ならばなぜ、彼を支える」


「支えていません」


「では」


「制度を支えている」


 レナードの口元がわずかに上がる。


「あなたは賢い。だが甘い」


「どこが」


「国家は恐怖で安定する」


 室内が冷える。


「人気は揺らぐ。だが恐怖は裏切らない」


「裏切ります」


 私は即答する。


「恐怖は蓄積する」


「反乱は鎮圧すればいい」


「毎年ですか」


 沈黙。


 彼は机に指を置く。


「辺境連合を解体しなさい」


「拒否します」


「さもなくば」


 彼は視線を細める。


「供出率を五割に引き上げる」


 脅し。


 王太子の名を使わない。


 強硬派の意志。


「それは国家崩壊です」


「弱い部分が崩れるだけだ」


「辺境は弱くありません」


「だから危険だ」


 レナードは立ち上がる。


「あなたは秩序を語る。だがあなたのやり方は中央の権威を削る」


「権威は制度で支えるべきです」


「違う」


 彼の声が初めて硬くなる。


「権威は力で示す」


 沈黙。


 私は静かに言う。


「王太子はこの方針を知っているのですか」


「殿下は優しい」


 答えになっていない。


 つまり、裏で動いている。


「あなたは王太子を守るつもりか」


 レナードが問う。


「違います」


「では」


「国家を壊させない」


 彼は笑った。


「あなたは危険だ」


「慣れています」


「敵を増やす」


「必要なら」


 会談は決裂。


 城を出ると、セドリックが待っていた。


「どうでした」


「予想通り」


「強硬派は動きます」


「ええ」


「武力も視野に」


「可能性はある」


 馬車が動き出す。


 私は窓の外を見る。


 王城は静かだ。


 だが内部は割れている。


「あなたは王太子に伝えますか」


「必要なら」


「彼は揺れます」


「知っている」


 セドリックが低く言う。


「あなたは正しくない」


「知っている」


「ですが」


 彼は続ける。


「あなたは恐れていない」


「恐れている」


「何を」


「力が制度を壊すこと」


 沈黙。


 レヴァンへ戻ると、辺境連合に新たな報が届く。


 中央軍の移動。


 名目は治安維持。


 目的は圧力。


 グレアムが怒る。


「やはり武力か!」


 私は冷静に言う。


「挑発です」


「応戦するか」


「しない」


「弱腰だ!」


「戦えば、レナードの思う壺」


 サラが静かに言う。


「あなたは王太子を守っている」


「違う」


「では何を」


「国家を二つに割らせない」


 沈黙。


 辺境は揺れる。


 中央は強硬。


 王太子は板挟み。


 私は塔に立つ。


 吹雪は去ったが、空は重い。


 悪役の仕事は終わらない。


 今度は力と理念の戦いだ。


 国家は、試されている。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ