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悪役令嬢は嫌われることにした ~嫌われても辺境で黒字を出す~  作者: 桐谷ルナ


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第20話 揺らぐ連合

 辺境連合は、勝利の後に揺れ始めた。


 価格は安定し、王都は静まり返った。


 だが成功は、疑念を生む。


 山岳領主グレアムから書簡が届く。


『王都は譲った。今こそ減税を要求すべきではないか』


 河港領からは別の報。


『商人はさらなる利益を求めている。価格操作を継続すべきだ』


 南のサラは沈黙。


 利害が分かれ始めている。


 私は大広間に再び彼らを集める。


「連合は目的を果たした」


 グレアムが言う。


「ならば解散だ」


「早い」


 私が答える。


「制度改革は始まったばかり」


「我々は十分譲歩した」


「まだ構造は変わっていない」


 エルヴィンが口を挟む。


「王都は今、弱い。圧力を続ければさらなる譲歩が得られる」


 私は静かに言う。


「今は支える時です」


 空気が変わる。


「支える?」


 グレアムが眉をひそめる。


「敵だろう」


「国家は敵ではない」


「中央は我々を搾取した」


「ええ」


「ならば」


「だからこそ制度を固定する」


 沈黙。


 私は続ける。


「今圧力を続ければ、王太子は倒れる」


「それでいい」


「代わりに来るのは誰ですか」


 その瞬間、扉が開く。


 王都からの使者。


「宰相補佐官レナード・ヴァイル殿より書状」


 私は受け取る。


 短い文面。


『辺境の連携は見事。だが国家は弱さを許さない。王太子の優柔不断が続くなら、別の選択肢が必要となる』


 空気が凍る。


 レナード・ヴァイル。


 王都強硬派。

 財政至上主義。

 支持ではなく恐怖で統治する男。


「彼は王太子の政敵です」とセドリック。


「ええ」


 私は静かに言う。


「そして我々の敵にもなり得る」


 グレアムが低く笑う。


「面白い。中央が割れ始めた」


「笑い事ではない」


 私は断言する。


「強硬派が出れば、供出は強制になる」


「武力で?」


「可能性はある」


 沈黙。


 サラが初めて口を開く。


「あなたは王太子を守るつもりか」


「守るのは制度です」


「同じことだ」


「違います」


 私は彼らを見渡す。


「愛される王は揺れる。だが支配する王は壊す」


 大広間が静まる。


「我々はどちらを望む」


 長い沈黙。


 エルヴィンが息を吐く。


「連合は維持する」


 グレアムも頷く。


「条件付きでだ」


 私は頷く。


「当然です」


 会議が終わる。


 セドリックが言う。


「あなたは王太子側に立った」


「制度側に立った」


「強硬派はあなたを排除するでしょう」


「慣れている」


 彼は静かに言う。


「あなたは正しくない」


「知っている」


「ですが」


 彼は続ける。


「あなたは国家を守ろうとしている」


 私は塔に上る。


 冬の空は澄んでいる。


 王都は揺れ。

 辺境は疑い。

 中央は割れ。


 国家は、第二の転換点へ向かっている。


 悪役の仕事は終わらない。


 今度は、権力そのものが相手だ。


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