表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/21

作られた均衡

それからの日々は、奇妙な均衡の上に成り立っていた。


夜ごと、ソウタは《共犯者》の声を胸の奥に響かせながら、頭目へと密かに情報を流した。

「今夜は東の畑の見張りが手薄だ」「明日、村の男衆は山狩りに出る」――些細だが確かな情報。


野盗たちはその隙をついて、家畜を数頭、干し肉を数束、時には薬草や道具を持ち去った。被害は出る。だが壊滅には程遠い。村は生き延び、野盗は血を流さずに利益を得る。


そして数日後。

「また野盗が来たぞ!」という叫びとともに、わざとらしい襲撃が始まる。

頭目から伝えられた筋書き通り、ソウタは憲兵のダリオや若者たちと共に立ち回り、勇敢に敵を退ける役を演じた。村人の前に倒れる野盗は、すべて“余分な駒”に過ぎない。頭目が差し出す犠牲。


「よくやった! お前がいなければ、村は滅んでいた!」

そう村人に肩を叩かれるたび、ソウタは笑って応えた。だがその瞳の奥で、詐欺師の血は冷たく沸き立っていた。


《見事です。あなたは村の英雄となり、野盗の協力者でもある。どちらからも必要とされる者……これ以上、安定した立場はありません》


やがて一か月。

村は襲われては守られ、少しずつ疲弊しながらも、英雄ソウタを中心に結束を強めていた。

野盗たちは計画的に利益を得て、頭目は満足げに笑みを浮かべていた。

すべてが「予定調和」に見えるほどに、巧妙に仕組まれていた。


――ソウタが、居場所を手に入れるための、偽りの均衡だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ