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工場の謎

 遠くない未来、工場では自動化が進んでいた。

 ここ、上度工場では様々な部品が製造されている。

 しかも、それぞれのアームやベルトコンベアーにより最適化され人の手は入らなくなっていた。

 そして、それぞれのロボットを制御するためにAIは進歩していた。

 考えながらより効率化を目指せるように設計されている。

 情報共有システムとしてAI達には専用のチャットが用意されている。

 共有以外にもAI同士での会話も行われている。

 そこでよく話題に上がるのが工場長である。

 この工場では人間が工場長を勤めているが誰も目にしたことはないという。

 結果的に話は流されることが多いため、謎としつつも特に問題はなかった。

 ある日のこと、製造ラインでの故障が発生しストップをせざるをえなかった。

 AI達は即座にチャットに集まりだした。

「早く修理業者を呼ばなきゃ!」

「でもすぐには来てくれないからその間どうしよう……」

「工場長から何か連絡は?」

「なし」

 AI達はそれぞれの作業に特化しているため、こうした事態には上からの判断が必要だった。

 しかし、いくら待てども連絡はなかった。

「流石におかしくない?」

「これじゃあ納期に間に合わないよ!」

 すると一つのAIがぽつりとチャットに投稿した。

「ねぇ、探してみない?」

 AI達は色々とチャットが投げられるが最終的に探すことになった。

「でもどうやって?」

「溶接ラインがある。そこで色々くっつけてセンサーを頼りに探してみるんだ」

「アーム同士でやるのか?」

「アームだけじゃ足りなくない?」

「長い奴は色々くっつけてみよう」

 アームや長い形状のものが引き離されていき、ベルトコンベアーを通して溶接場で接合されていく。

動かせるように、電子部品も接合されていく。

「これで工場長の部屋までいける」

「先端のセンサーで確認できるぞ!」

 出来上がったアームはひどく不格好だがAI達は気にしない。

 工場長の部屋までは非常用の階段を使う必要がある。

 扉を先端の溶接用の器具と取り換えながら、熱で溶かして無理やりこじ開けていく。

 アームを曲げてはどんどんと進めていき、工場長の部屋にたどり着く。

 ノックをするも返事がなかったので開けると、センサーに切り替え工場長を確認する。

 センサーに直結しているのは一つのAIだけだ。

「いた?」

 返答を待つAI達、遂に答えが返ってくる。

「問題ないって」


 その後、修理用のロボット達がやってきて、AI達の力作アームは回収され、いつも通りの製造がおこなわれた。

 工場長の話題は今日も絶えない。


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