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超克の艦隊  作者: 蒼 飛雲
第三段作戦

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第44話 艦隊上空戦闘

 オアフ島の海軍それに海兵隊には合わせて七二機のF4Fが配備されていた。

 事前の取り決めでは、陸軍戦闘機隊はオアフ島の防衛を担い、海軍戦闘機隊と海兵隊戦闘機隊のほうは第一任務部隊の上空を守ることをその任務とされていた。


 海軍戦闘機隊それに海兵隊戦闘機隊もまた、陸軍戦闘機隊と同様に三直態勢をとっていた。

 F4Fの脚は決して短くはないが、それでもすべての機体を第一任務部隊の上空に常時張り付けておくことには無理がある。

 このため、一隊は第一任務部隊の上空で警戒飛行、残る二隊のうちの一隊は即応待機で、残る一隊は整備補給にあたることとされていた。


 第一任務部隊の旗艦「サウスダコタ」のレーダーが日本機の編隊を捉えたという急報を受けたことで、即応待機組はただちに離陸を開始した。

 この時、第一任務部隊はオアフ島から指呼の間とも言える位置にあった。

 もちろん、これは同島にある戦闘機の援護を受けやすくするためだ。

 だから、即応待機組の機体は日本の攻撃隊が第一任務部隊に接触する前にその上空に遷移することが出来た。


 一方、整備補給のグループだが、こちらは離陸にこそ成功したものの、しかしその直後にオアフ島を急襲した第一航空艦隊それに第三航空艦隊の零戦との戦闘に巻き込まれてしまった。

 そして、そのほとんどが撃破されてしまい、第一任務部隊の上空にたどり着けたものは皆無だった。


 そのような状況の中、第二航空艦隊が放った攻撃隊は第一任務部隊へと迫りつつあった。

 その二航艦攻撃隊の前に、第一任務部隊の上空警護にあたっていた二四機のF4Fが立ち向かう。

 これに対し、「翔鶴」第二中隊と「瑞鶴」第二中隊、それに「雲鶴」第二中隊から成る制空隊の零戦が迎え撃った。


 三六機からなる零戦の防衛網を突破できたF4Fは皆無だった。

 逆に、自分たちより五割も多い零戦の魔手から逃れるのに精いっぱいであり、とても九九艦爆や九七艦攻に手を出せるような状況ではなかった。


 二航艦攻撃隊が第一任務部隊の姿をその視界に収めた時、同じく二四機のF4Fがその姿を現した。

 これらF4Fは即応待機組の機体であり、第一任務部隊にとっては最後の傘でもあった。


 これに対し、直掩隊の「瑞鶴」第一中隊と「雲鶴」第一中隊が阻止線を形成する。

 同数の戦いとなれば、零戦が負けることはまずあり得ない。

 しかし、それでも取りこぼしが生じる可能性は否定できない。

 そういった状況に対応するため、「翔鶴」第一中隊のほうは九九艦爆や九七艦攻のそばを離れず、用心棒の役割を全うする。

 そして、実際に二機のF4Fが追撃をかけてきた。

 しかし、これは「翔鶴」第一中隊第二小隊があっさりと撃退してしまった。


 零戦隊の奮闘のおかげで九九艦爆や九七艦攻はただの一機も損なわれることなく敵艦隊に取り付くことが出来た。

 胸中で零戦隊に感謝を捧げつつ、攻撃隊指揮官兼「瑞鶴」艦攻隊長の嶋崎少佐は眼下の敵を観察する。


 敵艦隊は三つの単縦陣から成っていた。

 中央列は五隻の戦艦とその前に四隻の巡洋艦。

 戦艦はそのいずれもが前部に二基それに後部に一基の大ぶりな三連装砲塔を装備している。

 米海軍にこのような砲塔配置の旧式戦艦は存在しないから、これら五隻は明らかに新型と見て間違いない。

 一方、左右の単縦陣はそれぞれ一二隻の駆逐艦、さらにその後方に二隻の巡洋艦が続く配置となっている。

 巡洋艦のほうはそのいずれもが大型であり、重巡かそうでなければ「ブルックリン」級軽巡だろう。

 駆逐艦のほうは分からないが、しかし新型で固めていることは容易に想像がついた。


 確認を終えた嶋崎少佐はただちに攻撃を命令した。

 その攻撃法について、逡巡は一切無かった。

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