今のはなし②
死神、魔王、星の人などと呼ばれる存在との戦いは
一度勝てば終わる戦いだけれど魔法の格を最大に高めたもの以外は足でまといにしかならないといわれていた。
魔法の戦いの強さは魔法の格と密度が重要となる。
代を重ねる毎に密度は増していく傾向はあったが、魔法の格を最大にできるものは人口の少なかった最初の100年を除けば1度に5~10人くらいは現れるけれど、初めて勝負らしくなったのが3回前、それ以前は魔法の格を最大まで高めようと全く相手にならなかった。そして星の人自身から3回前から代を重ねることによる密度の上昇は終わったと告げられた。
口の悪い人は星の人と戦いに行く人をいけにえと言っていた。実際に星の人は
「魔法の格を最大に高めたものが戦えば戦うほど犠牲者を減らすことができる」といったと伝わっている。
流の勝つ方法がわかったという言葉については莉奈も気づいていた。今回は今までの戦いとは違う。星の人は勝てない相手ではない。
莉奈は「まぁね」と答えた。最強の自分が勝たせるという思いがあった。一人でいるときはよくどうやって勝つかを考えている。
前回までの最強の人物は星の人との戦いには負けたけれど一命をとりとめた。その数年後死んでしまったけれど私は出会ったことがある。今回のメンバーは最低3人はその力を超えているし、自分の三姉妹の一番下の妹を含め、他にも今後超える事が確実なものはまだいる。
流は「普通に戦えば8割がた勝つと思います。俺の作戦はそれを99%に変える方法です。」といった。
勝つ確率を上げる方法のはずなのに流は迷っているように見えた。どこかしなければならないことだと自分を追い込んでいる用にかんじた。魔法の格と密度の差が大きければ思考を読むことができるけれど流に効くかと言われれば難しいし、だれに対してもマナー違反だ。莉奈は普段は行わない。今回だってしなかった。
表情からだけの判断で相変わらずだと感じた。だけどもう莉奈にとって流はもめることになってまでそのことを指摘する相手ではなくなっていた。喧嘩する以前ならたとえそうなっても一言止める言葉を入れている。
莉奈は「その方法妹と関係あるの?」と尋ねた。方法まではわからないけれど流のたくらみに巻き込まられるのかもしれない。ここでいう、妹というのは下の妹の方のことだというのは二人の間で迷うようなことはなかった。三姉妹とも流とは知り合いだけれど、下の妹は流とは同じ学校の同級生だった。下の妹が星の人と戦うことは決まっている。そのことは二人ともわかっていた。流の作戦に沿って戦うのかはわからない。莉奈はおそらく最終決定権は自分にあると自覚していた。だけど断りにくい状況というのはある。流の作戦はきっと自分を犠牲にする類のもので妹や自分はそれを見捨てるか見捨てないかなのだろうと予測した。莉奈にとってこれは予感というよりも予測だった。
流は「当然、さゆにも関係あります、莉奈さんがどう思っているかはわからないですが、さゆはきっと星の人を超えて強くなります。去年学校を卒業してからさゆが急に強くなったのはご存じのとおりだと思います。学校にいたころだって強い強いといわれてました。ただそれでもどこか評判ほどじゃないという印象だったのが卒業したころから評判通りになってきたって感じだと思います。
だけど今後さゆは最強になります。ただ戦いの日までに間に合うかはわかりません。」といった。