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アレとジャンニとカイル様

前世で世渡りが下手なのか何なのか、あまり良い人生を送れず、疲れ切った主人公は、最後も何か悪いことをしたわけでも無く、運転をミスした車に突っ込まれて、死んでしまいました。

よく「生まれ変わったら」って言う人も居るけど、もう生まれ変わりたくも無いと思っていたのに、何故か異世界転生してしまい。

だったら今度こそは、平穏無事な人生を送ろうとあがく主人公ヴィカです。


幼少期は前世と変わらず親からは放置されているものの、それでもヴィカを心配してくれる人も居て。


ついに王都の学院へ入ることになり、一気に新たな出会いが増え、人間関係が複雑になると、トラブルも起きやすくなってきます。

アレとはお互いに想い合うようになり、ジャンニやカイル様との思いが何なのかもハッキリしました。

今回はヴィカ目線での三人との時間です。

ルイーザの爆弾発言で、アレとジャンニ、そしてカイル様それぞれと二人きりで過ごす時間を取ることとなった。


先ずはアレとだった。

アレは2週間掛けて、準備をしてくれていた。

ドレスやアクセサリーまで用意してプレゼントしてくれて、実はちょっと怖かった。

元々貢がれる事には慣れていないので、高価なものを渡されると、どうしてよいのか分からない。

そして今まで行ったことの無いタイプの、ちょっと洞窟っぽいレストランへ連れて行ってくれた。

店にはステージがあり、ステージでギターを弾く真っ赤な髪に黒い瞳の男性が居た。

ギターを聴きながら食事をした。

何と!パエリアみたいな料理があり、前世日本人の私には、久し振りの米は、本当に嬉しかった。

そうか、ここは前世でスペイン語の旅行会話講座へ通った時に写真で見た、スペインのタブラオに似ているんだ。

前世では、東京にあった有名なフラメンコが見られるレストランへは行ったことが何回かあるけど、スペインへは結局一度も行けなかったのが心残りです。

初めてスペイン国立バレエ団のステージを見たとき、本当に圧倒されたし感動したんだよね。

ここでも似たものが見られるのかなぁ。

ちょっと、いやかなり期待が高まりました。


食事が終わると、お酒とかを楽しみながらのショーが始まりました。

やっぱりフラメンコっぽい踊りだった!

もう最高でした!

格好いい!格好いい!格好いい!

しかもこのお店は更なる驚きがありました。

ショーの後、店の常連さん達がステージで踊り、凄く盛り上がりました。

でも一番の驚きは、アレがステージに上がった事です。

それまでの常連さん達に比べると、細くて小柄で、迫力は負けますが、踊り出すと、凄い情熱的で、時折私に情熱的な視線を送り、本当に驚いて、感動して、心臓を鷲掴みってこういうことを言うんだという感じで、目が離せなくなってしまいました。

もう本当にこれは誰?という感じで、それまでの私が知っていたアレとは別人でした。

息が苦しくなるくらいにドキドキして、アレが踊り終わった後、皆が拍手喝采と、アレと私をはやし立てる声の中を、何も言えずにアレに促されるままに、店の外へ出ました。

店から出て、店の前、ドアから少し横へずれた所で、アレにキスして良いか聞かれましたが、拒否なんて選択肢は無いから聞かないでって思いました。

最初は少し唇が触れるだけだったのが、止められずに何回も繰り返すうちに、知らない間に深くなっていて、舌と舌が絡まり合い、もう何が何だか分からなくなりました。

アレの腕に掛けていたはずの私の腕も、気が付けばアレの首と頭にまわして、少しでも彼に近づきたくて、身体を密着させてしまっていました。

次の瞬間、膝から力が抜けてしまい、立っていられませんでした。

驚いたアレが、支えてくれましたが、私達は我に返り。

本当に何が起こった?という感じで。


実は私、前世で一度だけそれに近い経験がありました。

言えるのは、誰とでもあんなキスが起こるわけでは無い。

前世の元彼で、キスが上手い人は他にも居ました。

でもお互いに頭が真っ白になって、膝から力が抜けるほどというのは…一人しか居ませんでしたね…前世では結局、その人とは結ばれませんでしたけど。

しかしそのくらいに特別な相手なのは分かってます。

そんな相手に現世で出会えて良かった…おまけにそれがアレだなんて。


その夜はそのまま、アレの実家のカーサ・ノヴァ家へ泊まり、アレとは同じベッドで眠りました。

アレと一緒に寝るのはいつものことですが、流石に今夜は眠れないと思いましたが、アレにハグされたら、すんなり眠ってしまいました。

条件反射ですね。

もはやパブロフの犬です、私。

アレにハグされると眠くなって寝てしまう…。

アレの身体はいつもとは違った様ですが…私は眠ってしまいました…。

まあ、アレのご両親や姉弟が同じ屋根の下にいるわけですよ。

しかも私達は、まだ前世で言うところの高校生と中学生です。

この世界では、結婚とかも前世より全然早いとは言っても、せめてアレが高校生くらいの年齢になるまでは、清く居たい。

いや、キスはしてますけど、一線は越えちゃダメだよ、私達…。


翌日は、朝早くにアレに起こされ、キャンプへ出掛けました。

出掛けにルイーザが起きてきて、ちょっと恥ずかしかったですが、ルイーザは深くは聞かずに居てくれました。


キャンプでは、もうお互いの気持ちを確認し、まどろみました。

いずれまた、ゆっくり来たいな…。



アレとの次の週は、ジャンニ。

正直に言うと、ジャンニと二人で過ごすのは不安でした。

もしかしたらアレとの事は、雰囲気とかに流されてだったのかもしれないわけで。

そうだったらどうしようという怖さ。

ジャンニのことは好きだし一緒に居て安心できるし、だから怖かった。


ジャンニは古代の遺跡へ連れて行ってくれた。

これは前世の名残なのですが、私は前世で古代ギリシアと古代ローマ遺跡が大好きでした。

ギリシャもイタリアも行きましたし。

でも私が古代遺跡が好きな事は、誰にもそれ程話したことも無かったので、非常に驚きましたが、聞くとジャンニは覚えていたそうです。

正直言って、前世が懐かしくなってしまいました。

ローマのコロッセオやフォロロマーノ、ポンペイは勿論、ドムスアウレアや、他の遺跡、ギリシャのパルテノン神殿、ケープスニオンとかを思い出して、本当に懐かしかった。


そんな遺跡の中で、ジャンニと色々話しました。

そして分かったのは、私はジャンニのことが本当に好きだけど、それは男女のではないって事。

実の兄よりも私にとって兄だということです。

ジャンニにとっても私は結局、妹でした。

それも双子の妹…確かに…双子のって言われると、本当にしっくりくる。

多分、私はジャンニと一緒になっても穏やかに幸せになれると思う。

でもそれは、唯一無二の存在とか、運命の相手とか、そういう強い存在なのでは無くて、お互いに空気みたいな。

だからどちらかが強く惹かれる相手に会ってしまったら、悲劇にしかならないかな…と。

我慢しても、それも悲劇だし、別れることになっても辛いだろうと思う。

相手に対して想うところがあるから余計に。

なのでここでお互いの気持ちがハッキリ分かることは、必要なことだったと思う。

これはこれで、必要な時間だったという事ね。

私と過ごして、ハッキリさせることを決断してくれたジャンニに感謝です。

この時間が無ければ、もしかしたらいずれ、モヤモヤしたのかもしれない…どちらかが…若しくは二人とも。



そして最後はカイル様です。

ルイーザの付き添いが必要な事もあり、ルイーザが王都に居るうちにと急ぎまして、ジャンニの翌週末にカイル様とも過ごしました。

付き添いが必要になった理由は、カイル様も一泊二日のお出掛けを希望しまして。

ジャンニやアレは、今までに散々、二人で出掛けたり、お邸とかでとはいえ、一緒に寝ていたりとしていたので、手は出すな!と決めれば手は出さないし、それだけの信頼が私だけでなく、周囲からもあったのですが、カイル様については、そこまでの付き合いではなく。

お互いの立場も守るために、付き添いをという事になりまして。

ルイ―ザと、ルイ―ザたちの叔父のアンジェロ様が付き添ってくださることになりました。


行先は、またガラッと変わって、海辺のカイル様の家の別荘でした。

到着するまでに馬車の中で何となく気が付いてしまったのですが、カイル様は先に私と出会っていたため、変わり者の私に興味を惹かれ、また学院でも一緒だった事もあり、そのまま私に惹かれたようでしたが。

今回の事をルイーザに相談したりして、ルイーザと過ごす時間が増えたこと。

そしてルイーザも私同様に一般的な貴族の令嬢とはかなり異なっている事もあり、恐らくルイーザに惹かれ始めていて、更に私よりもルイーザの方が相性も良いのではないかという事です。

しかし最初、カイル様はそれに気が付いていませんでした。

気付いていなかったため、私が二人きりの時に指摘しまして、カイル様は動揺していました。

でもルイーザはもうすぐフォンターナ・ドーロ子爵領にある、カーサ・ノヴァ家の本邸へ帰ってしまいます。

悠長な事をしている時間はありません。

私としては、ルイーザは姉の様に慕っているし、カイル様も人としては好きなので、出来れば応援したい。

なのでカイル様をせっつきました。

慌てて行動を取り始めたカイル様ですが、ルイーザからは一人増えた弟みたいな扱いで。

この先、この二人はどうなるのでしょうか…。


しかしこうして無事に?私が三人それぞれと二人で過ごす時間は終わりました。


私はしばらく、アレとは離れ離れになってしまいます。

アレはルイーザやご両親とともに、本邸へ帰るので。




初めまして。恵葉と申します。

遊び半分で短編を書いたことは何回かあるのですが、まともな長さのものを書いたことは無く、初めて挑戦しております。

手探りで書いておりますので、非常に不慣れですが、誰かに面白いと思って頂ける事があれば嬉しいなと思います。

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