ただの遺書
人生ガイドブック兼小説だよ~~ん
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その日、僕は死んだ
僕が死んだのは、六畳一間のぼろい小部屋。機械らしい機械といえば電子レンジくらいなもので、電灯も数か月前に切れてから変えていない。外から見られないように閉ざしたカーテンからギリギリ差し込む光だけが唯一の光源で、そんな光だけを頼りに僕はそれまで生きていた。
椅子が一つと、ロープが一つ。
人生を終わらすにはそれだけで十分だ。700円もあればいい。
まあそれでも当時の僕にはギリギリだったけど。
ちょっとおもうんだが、人生を始めるのは簡単じゃないのに、終わらせるのは簡単だというのはちょっと皮肉めいていないかい?
前の僕は、そうして、トツと椅子から降りて、
脳内は苦しみと怨嗟に満ちたまま、首にひっかけたロープに僕の意識を閉ざさせた。
後悔はなかった。後悔をするという考えさえ当時はなかった。
全部を生まれと育ちのせいにして、苦しみから逃げて、苦しいから逃げて、逃げて、逃げて逃げて。
いや、もちろん生まれと育ちのせいもだいぶんあったと思うよ。詳しく言うと、気まずいから言わないけど。
どんな生き方をしていたかは聞かない方がいいよ。
この遺書を読んでいる君にもある程度は想像できるだろ?なんなら多少は自分の人生とリンクする部分があって苦しく感じているんじゃないかな?
今の僕だって時々思い出して、苦しく悲しくなる。
じゃあ、そろそろ前に進もうか
なぜ死んだはずの僕が今こうやって書いて、過去の自分について語っているか、少しは疑問には思わないかい?
答えは簡単だ。
転生さ。
別の世界、君からしたらこの世界に生まれ変わらせてもらったんだ。神様にね
このことは、僕と君と神様しか知らない。
そして、僕と神様とこれを読んだ君だけが、神の犯した唯一の間違いを知るだろう