92話 夜月草の収穫
「夜月草の収穫ってコツとかあるんです?」
夜月草の所に着くと、ライラさんは凄い勢いで夜月草を収穫していった。
こういった異世界ものの薬草集めなんかでは、よく収穫方法によって品質に差が出るとかの設定があったりするが、夜月草についてはラフに扱っても大丈夫なものなのだろうか。
ライラさんがあのペースで実は上手いことやっている可能性もあるが。
「うーん、根元からちゃんと引き抜いてあげるぐらい?あとは収穫する時に折ったりやぶれたりしないようにだけ気をつければいいかな」
どうやら、夜月草の収穫方法は結構単純なようだ。
ただ、ライラさんは雑草でも引き抜くかの様なペースでサクサクと引っこ抜いているのに、根元からちゃんと引き抜けていたり、折れたりやぶれたりしていないのは職人技だとは思うが。
「よし、これぐらい集めれば今回だけでなく暫く持つだろう。急いで帰ろうか」
たった2、3分程でライラさんは必要な分の夜月草を集め終えたようだ。
だいたい小袋1袋分ぐらいだろうか。
集めた夜月草は潰れないよう丁寧に鞄にしま割れていた。
「わかりました。ちょうど頭上が開けているのでこのままここから飛んでいきましょう」
夜月草が生えていた地点は少し開けた所になっていたので、その場から空に飛び立って山を脱出した。
わざわざ着陸地点に戻ったり飛び出せる所を探さずに済んだのは幸いだ。
「それじゃあ飛ばしていきますよ!」
「お、お手柔らかに頼むよ…」
ライラさんの言葉は無視して帰りは行きよりも速く飛んだ。
目的地が分かっているのと、2人乗りに慣れたのが大きかった。
この章こんなに長くなるとは…。