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8話 未完成の異世界転移

「えーと…つまり私はトラックに轢かれて死んで、死後に女神様の部屋に呼び出されたってこと…?」


「そーですそーですー」


 なんともベタな展開である。

 何処ぞの小説ではトラックに轢かれて目が覚めると白い部屋、目の前に転生を司る女神というのがテンプレだったが、もしかしてそういうシチュエーションなのだろうか。

 白い部屋ではなくただの部屋だったり、目の前にいる自称女神は本当に神様なのか?と疑いたくなるような雰囲気ではあるが。


「すると…その辺の小説みたいに異世界転生でもさせられるの?」


 そう言って私は本棚を指差す。異世界転生を取り扱った小説だらけの本棚があるのだから、そう考えるのは自然だろうと。よくあるシチュエーションを再現しようとしているだけのごっこ遊びの可能性もあるけども。


「そうです!異世界転生!あなたにもしてもらいます!…と言いたいところなんだけど転生はまだ出来なくてー…今の姿のまま転移になるのと、転移すらまだまだ上手くいかないですー」


 転生では無く転移ものになるとの事だった。

 既に死んでいる私を別世界に送るという話であれば、蘇生や送り先の世界のフォーマットに合わせるとかで転生扱いになるのか、元の姿のままなので転移扱いになるのか議論が別れそうなところだけれども。この子的には姿が変わらなければ転移という扱いらしい。

 そんなどうでもいいことを考えていると、女の子は続けて説明してくれた。


「転移だったらあなたが元々いた世界や、魔法がある世界、生き物のいない世界とか色んな世界に送ることができますー」


「いろんな世界があるのね…生き物のいない世界に送られても困ると思うけど。それで、上手くいかないというのは?」


「場所を上手く指定できないので、今のままだと転移した直後に死ぬ可能性がたかいですねー…」


 なるほど、よくある辺境スタートみたいなものか。最近はラストダンジョンとか隠しステージからスタートして、最終装備拾ってパワーレベリングみたいな話もよくある気がするし、そういうことをしろということだろうか。自分でやれと言われたら普通に死ぬと思うが…。

 流石にこれでリスキルされて終わりというのも勘弁して貰いたいので、どうにかならないかと縋ってみる。


「えーと…それで異世界転移させられてもすぐ死んで終わりというのは勘弁してもらいたいのだけれど」


「大丈夫ですよー、もし転移失敗で死んだりしてもここに戻ってこれるようにしてあげますのでー」


「そもそも死なないようには出来ないの?」


「目下努力中というやつですー」


「痛い思いとかしたくないのだけど」


「なるべく早く回収するのでー」


 あれ?もしかして私このままだと死ぬの前提で異世界転移を強行される?

 いつの間にか話の雲行きが怪しくなってきていて、冷や汗が出てきた。

 異世界転生と転移の線引きって地味に解釈が人によって違うところだと思います。

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