70話 街のギルド
異世界ものの物語ではギルドというのはかなり定番の要素だろう。
定番なのは冒険者ギルドだろうか。
異世界ものの物語の主人公は多くの場合冒険者ギルドに属していて、何かしらのモンスターの討伐依頼だったり薬草を取ってくるみたいな採集以来を受けてるようなイメージがある。
要は腕っぷしに自信のある人向けに、日雇い仕事を斡旋してくれるような場所というイメージだ。
あとは冒険者達が飲み食いする為の居酒屋的な店も一緒にやっている場合もある。その場合は結構治安が悪くなっている印象があるが。
他の例としてはたまに商業ギルドのようなものも出てくることがある。
こちらは商人が店を出す為の手続きをしたり、生産職が商品を納品する場所という扱いをされるようなことが多いと思う。
生産職の主人公とかが出てくる作品だとこちらの方が出番が多いかもしれない。
「どっちのパターンだとしてもできる気があまりしないのだけれど、どうしたものかな…」
そう、私は戦闘なんてできるわけないし、何か売れそうな物を作れたりする訳でもない。
採集ならと思わなくもないが、この世界で採集対象になるものがどんな所にあってどんな見分け方をすれば良いか全く知らない。
誰だって最初は出来ないのだから教わればと思いもするが、当然無一文なので教わることもできるかあやしい。
仮に無料で教わることが出来ても実践するまで生活する宛も殆どない。熊さんと一緒に山で生活できはすると思うけれど…。
さて、私の目の前にあるギルド。
冒険者とか商業とかそういったものはなく、大きな建物にギルドとだけ書かれている。
騒いだりしているような声は聞こえないので、所謂冒険者の酒場とかのような形式では無いのだろう。少なくとも外から見て分かるような治安の悪さのようなものはないようだ。
「とりあえず入ってみないと分からないか」
どうしたものかと躊躇う気持ちもあるが、悩んでいても始まらない。
意を決して扉を開けてみると、中は役所みたいな所に食堂のようなスペースが着いているような施設になっていた。