68話 城下町へ向かって
熊さんと別れて飛び続ける事1時間半。
先日の村から更に川沿いに進んだ先に見覚えのあるお城が見えてきた。
どうやらこの辺りはあの川に沿う形で
久しぶりに見た気がするが、相変わらずファンタジックで壮大な景色だ。いかにもこから物語が始まりそうな気がする。
「さて、今度こそは入れてもらえるかな?」
前回は横着して魔女箒に乗っている所を見られたのが良くなかったと思うので、今回はちゃんと歩いて向かう事にする。
街から歩いて20〜30分ぐらいの距離の所に着陸する。前回は警戒しすぎて離れすぎたせいで歩くのに遠かったのが良くなかった。
そんなこんなで少し離れた所から城下町へ続く道を歩いていると、後ろから何かが近付いて来る音がした。
振り返ってみると馬車が向かってきていた。私と同じであの城下町に向かっているのだろうか。
邪魔にならないように横に避けておいたが、その馬車は通り過ぎる事はなく、私の目の前で止まった。
何か目をつけられるような事をしてしまっただろうかと思いながら見ていると、馬車の中から恰幅のいいおじさんが降りてきた。
「こんな所で1人とは危ないじゃないか。お嬢さん、街へ行くなら乗っていかないかね?」
言っている事はごもっともだが、色々と大丈夫だろうか。私の元いた世界なら事案な気がするが。
「えっと…お金持ってないですけど大丈夫です?」
「そんなもの全然気にしなくていい。さあ乗りたまえ」
紳士で気前のいい人なのかな?