6話 始まりはお約束
「危なーい!!!」
学校帰りに横断歩道を渡っていた時。それは唐突にやって来た。
偶然居合わせた誰かの叫び声に気付いて顔を上げると、信号が赤だというのに一向に止まろうとする素振りもなく、私をめがけてトラックが走ってきた。
慌てて逃げようと走り出そうとするが、運動神経の悪い私が間に合うわけもなく。
「トラックに轢かれるとかベタな展開だなー」
どこか他人事のようにそんな事を思いながら、私はトラックに轢かれた。
目を覚ます。見知らぬ天井。ふかふかのベッド。横には椅子に座って読書をしている、白いワンピースの女の子。
起き上がって周りの様子を見てみると、そこは女の子の部屋といった様相で、机や本棚、テレビ等が置かれた生活感のある部屋だった。
少し気になるとすれば本棚に置かれている本が参考書や漫画ではなく、異世界転生とかしていそうな小説ばかりだという所か。
恐らく隣で読書をしている女の子の部屋なのだと思うが、この子とは趣味が合いそうだ。
そんな事を考えながら部屋の様子を見ているとふと思い出す。
あれ?私はトラックに轢かれたんじゃなかったっけ?目覚めるにしても病院じゃないの?
そんな風に困惑していると、私が目覚めた事に気付いたらしい女の子が声をかけてきた。