5話 今回の反省会
目を覚ます。見なれた天井。ふかふかのベッド。横にはニコニコ顔のクソ女神。
「あ、ねこちゃん起きた?」
「何が起きた?だよ、このクソ女神」
ベッドから起き上がり、すぐさま飛び蹴りを放つ。
「そんな連続じゃ当たらないよー」
流石に想定していたのか、回避の姿勢をとるクソ女神。
だが、動きが遅い。結局避けきれずにぐえーとか言いながらその場に倒れた。
吹っ飛ばずに済んだだけ、抵抗した甲斐があったのかもしれない。
「とりあえずパラシュートは無防備すぎたよね。プテラノドンに襲われるとまでいかなくても、天気が悪かったり着陸地点が悪かったりしたらダメだから今のままだと安全とは言えないかな」
「ですねー、バリアを張ってみようかとも思いましたが、パラシュートまではカバーできなくてダメそうですねー」
しれっと言ってたがバリアなんて張れるのか。この言い方的にあまり使い物にならなそうだけども。
どうせどこかで使おうと言い出して試してみるも、何かしら欠陥があって失敗するオチな気がするが。
「あとそもそも今回の世界に人っているの?空から見渡した感じ街とか全然見当たらなかったんだけど」
「下調べしたときは人が住んでいて、そこそこ栄えている世界だったはずなんですけどねー…あっ」
クソ女神は何かに気づいた様子でタブレットのような端末を取りだし、何か操作を始めた。
1、2分程経ったところで顔を上げるとこんなことを言い出した。
「すいませんー…転移先の時代を間違えてたみたいですー…」
「あー…それで恐竜…」
「ねこちゃんがいた世界と同じで、人間が生まれるより前の時代には恐竜がいた世界だったみたいですねー…」
どうやら、私のよく知る地球と同じような歴史を辿る世界だったらしい。
今までは転移すらまともに出来なかったから考えることもなかったが、転移出来ればそれでよしという訳でもないことが分かっただけでも進歩があったと言えるのかもしれない。
こうして、今回の転移の反省会は終わった。
暫くまたこのクソ女神は改善だーとか言って、転移の調整をするらしい。この様子だと転移後の問題が色々出てきて、まだ完成には遠そうだけど。
こうやって転移、失敗、反省会と繰り返すのが、今の私の日常となっている。
果たして転移が完成して、私が死ななくて良くなる日は来るのだろうか…。
とりあえずここまでで一区切りです。
こんな感じで異世界転移を成功させるために2人で試行錯誤して、上手くいかなくて死んでを繰り返すような話を書いていこうかと。
次回からはねこと女神の出会いの話をやっていく予定です。