53話 ファンタジックなアイテム
「これは…石鹸?」
リュックの中から次に出てきたのは、チャック付きの小袋に入った石鹸のようなものだった。
見た目は石鹸にしては少し大きめかな?というぐらいで、そこまで変わったところは無かった。強いて言えば使ったあとの濡れた状態でも、小袋に入れれば周りを濡らさなくて便利ではある。
「ふっふっふー、これは特別な石鹸なんですよー、なんと聖属性が付与されてるのですー!」
「聖属性を付与…!?」
なんか急にファンタジーな事を言い始めた。今まで魔女箒といい反重力リュックといい、魔法やファンタジーと言うよりは普通に技術的な要素の強いものだったので、こういうのは初めてだった。
「効能としてはこれで洗ったものは浄化されて綺麗になりますねー。つまるところ、なんでも洗えて簡単に綺麗になるお手軽万能石鹸ですー」
「なるほど…聖属性には驚いたけど用はシンプルに万能な石鹸ってことね。というかそんな凄そうなものなら普段から洗い物とかお風呂とかこれ使った方が良かったりする?」
「うーん、洗い物は良さそうですがお風呂はどうですかねー。たしかに綺麗に洗えると思いますが香りが付かなかったり保湿とかの効果は殆ど無いですからねー」
「なるほど…綺麗に出来さえすれば良いって訳じゃないか…」
言われてみれば確かに、洗えて綺麗になりさえすれば良しと言う訳では無かった。使えさえする環境ならそれぞれ特化したものを使った方が良いのは、当然と言えば当然だろう。
「まー出先で使うぐらいには十分すぎるぐらいなはずですー」
「お風呂で使うとどうなるかは後で試してみるとして、洗濯はちょっとここで試してみよっかな」
泉の水で泥を作って、ハンカチに揉みこんでみる。その後、泥まみれになったハンカチを軽くゆすいでみる。
「これを洗濯…と思ったけど見た目的にはそこまで汚れたって感じがないから分からなそうね…」
「乾いて定着しちゃった程でも無いですし、ここの砂も水も綺麗ですからねー…」
「まーやるだけやってみるよ」
石鹸を取り出して泉の水で洗ってみる。確かに砂粒とかがくっついたりせず、綺麗に洗えた気がする。
「なんか聖なる光に包まれるみたいなのはなくて普通に石鹸なんだね」
「そういう要素だとアンデッドとか死属性とか闇属性のモンスターとかを洗ってあげると浄化されて昇天してくれますよー」
「そんなのに遭遇したら洗ってる余裕なんてないと思うんだけど」
ファンタジーな要素があるならそういうモンスター的なのがいる世界もちゃんとあるのか。遭遇しない事を願っておこう。
こういう生活的な要素は自分だとこんなの気になるなーみたいなのを好き放題書いてる感じがありますね…。