42話 森の中での目覚め
翌朝、目を覚ましたらいつもの天井…なんてことはなく、薄暗い森の風景が広がったままだった。
前回はこんな感じでいた時、女神が詰んだ判定をして回収してくれたから少し期待していたのに。今回はまだいけるということなのだろうか。
「あー身体が痛い…」
ベッドなんてあるはずもなく、地面の上で寝たので身体中が痛む。なんなら砂埃までついて最悪の朝と言ってもいいだろう。
「喉乾いた…」
気が付けばもう丸1日何も飲んでいない。昨晩は川の水を飲むのが怖いと言っていたが、このまま干からびて死ぬよりはマシと、近場にあった川の水をすくって飲んでみた。
幸いそこそこ綺麗な水だったようで、美味しいとまでは言わないが変な味はしなかった。とりあえずすぐに体調を崩すということは無いだろう。
「これでお腹壊したらあのクソ女神のせいだ…」
満足するまで水を飲んだ後、そのまま川の水で顔も洗う。そこで気が付いたが、砂や汗で全身結構汚れていた。
「水浴びする…?いや流石にタオルが無いからまずいか…?いやでも、この服を着ていれば寒くも暑くも無くなる機能があるらしいから大丈夫かな…?」
忘れがちだが、私の今着ている服も女神が用意した謎技術の代物だ。これのおかげで上空まで行っても寒さを感じることがないので、多少濡れていても冷えたりせずになんとかしてくれるのでは無いか。
「まぁ…これで体調崩すぐらいならどの道死ぬしいいか…」
どうせ死んだところでクソ女神が回収してくれるんだ。それならどうでもいいやということで水浴びを決行した。
倫理観が狂っているというか、正気じゃない考えになっている気がするが、何度も何度も死んでいるのだから仕方がないだろう。
「寒い…冷たい…しかもそんなに綺麗にならない…」
あまり陽の当たらない森の中なのもあり、服を脱いだら思ったより寒かった。
当然川の水も冷たい訳で、水浴びを始めた時点でもう後悔するぐらい冷えてしまった。
しかも石鹸のようなものも無くただ水で流すだけなので、思ったより綺麗にならなかった。特に髪はゴワゴワして、手櫛もまともに通らないぐらいだ。
「昔の人は大変だったんだろうなぁ…」
現代の文明の利器への感謝を再確認すると共に、こんな生活をしていたであろう昔の人達に思いを馳せた。正直水浴び1回でこんなにも辛いのだから、私にはこんな生活を続けるのは無理だろう。
「衛生周りのものはちゃんと持ち込まないとダメだね。こんなんじゃ生きていけない…」
次回以降用意するべきものがまた1つ確認できただけでも収穫があった。そう思わずにはやっていられなかった。
こんなにげんなりする水浴び回あります?普通?
本当は水飲んでお腹痛くなるほどでは無いかな…ぐらいの回のつもりだったのですが、顔洗いたくなるよなぁ…髪とかゴワゴワで洗いたくなるよなぁ…水で洗った程度じゃなぁ…って考えてたらこんな回に…。
ホテルとかの備え付けのリンス使うと髪ゴワゴワになって気になるタイプの人間なので尚更…。