40話 薄暗い森の中
森の中を暫く歩いてみて、当たり前なことに気が付いた。そもそも暗くなるような時間まで歩けるような体力が私には無かった。
仕方がないので低空飛行で魔女箒に乗ることにした。一応、ゆっくり飛ぶ分には木々にぶつかったりはしないだろう。
これを誰かに見られてこの前の門番のように警戒されるみたいな事が無いと良いのだけれども…。
そうして暫く低空飛行を続けていたが、一向に森を抜ける気配が無かった。
かなり広い森なのか、気が付かないうちに元の位置に戻ったりしてしまっているのか。ひとまずこの調子では今日中に森を脱出することは難しそうだった。
「仕方がない、上から確認するしかないか」
そう言って魔女箒を操作して上に上がる。案の定森の上に出ようとした時に木々に引っかかったりはしたが、光が差し込んでいる隙間を狙って行ったお陰で箒から落ちることはなく済んだ。
「さて、近くに人里があればいいんだけど」
森の上空から周囲を見渡す。
周りの様子としては、やはり森の範囲が広く、かなり遠くまで続いているようだった。
また、森を抜けたとしてもその先は山や海のようで、およそ人里が近くにありそうな様子は無かった。
森の中に隠れている村があったら分からないが、今日中に見つけ出すというのは無謀だろう。
「どうしたものかな…」
とりあえず向かうとすれば山の方角だろう。海を渡るというのは現実的では無いし。
ただ、そもそも山まで行くのも相当距離がありそうで、魔女箒で飛べることを考慮しても今日中には着かなそうなぐらいには離れていた。少なくとも山の辺りで人里を探して、今日の夜を明かしに行くというのは現実的では無い。
「森の中でどうにかするしかないか…」
このまま空中で寝落ちでもしたら、確実に箒から落ちておしまいだろう。
今晩は森の中に戻って夜を明かすしかないようだ。