3話 パラシュート大作戦
「言われた通りに付けたけどこれでいいの?」
「はいー大丈夫なはずですー」
今朝のクソ女神の来訪からしばらくして。
室内なのに広げた状態のパラシュートを背負っているとかいう、訳の分からない状態の私の姿がそこにはあった。
「パラシュートって普通落下中に展開するものじゃないの?先に展開してたら絡まったりしない?」
「ねこちゃんが上手くできるか分からないじゃないですかー。だから先に展開して、転移の際にちゃんと広がった状態になるよう調整しておきますー」
クソ女神のくせに、予想外にちゃんと考えているようだ。これはもしかすると今回こそは成功するのかもしれない。
「なんか今回こそはなんとかなりそうね…」
「はいーこれでバッチリなはずですー!」
クソ女神も自信満々といった様子だ。無駄に自信に満ちた良い表情をしている。
こいつがこういう表情をしている時は大体ろくな事にならない。さっきまでいける気がしていたが、急に不安になってきた。
「それじゃー始めますねー?行ってらっしゃーい」
私の不安な気持ちなぞ気付かないというように、クソ女神は意気揚々と転移を開始した。
何度も見た転移の光。この光が消えた後に意識があったことはほとんど無い。
宇宙だったり溶岩の中だったりに飛ばされた時には、光が消えたらいつものベッドで目が覚める。
死にそうとか何も考えるまでもなく、転移完了した瞬間に即死という訳だ。
殺される身としては先日の落下のようなことになるより、そっちの方が楽で良い。
「失敗するなら即死だと楽なんだけど。」
そう呟きながら、私は転移させられるのであった。