30話 女神のコピー能力
ドームから2人で帰ってきた後、夕食を食べながら私はふと気になったことを聞いてみた。
「なんかちゃんと聞いてなかったんだけどさ、女神って色んな世界のものをコピーする能力でも持ってるの?」
「まーそんな感じですねー。私が確認した世界にあるものなら大体コピーできますよー」
直近で見たものだと魔女箒なんかはコピーしてきたと言ってたはずだ。あれを女神が作ろうとしたら転移みたいに上手くいかずにえらい目にあわされただろうことが予想できる。
あとはドーム以外の浮島の上にあるものは基本的にどこかの世界のコピーしてきたものでできているとのことだった。
そういえばいつも用意してくれる料理も私の世界からコピーしてきたものって言っていたような気がする。
なんとも便利というか都合のいいことができるものだと思う。いや、神様なんだからなんでもありといえばそうなんだけどさ。
「一応コピーできないものは私の把握してるところだと2種類ありますねー」
「何でもできるって訳じゃないんだ」
転移も上手くできていないので分かりきったところではあるのだが、この女神は意外とできない事が多いようだ。
「一つ目は魂はコピーできないですねー。生き物をコピーしても動かないですー」
前に魂を作れないと言っていたが、コピーすることも出来ないとのことだった。いまいち何故かは分からないが、魂だけは上手く取り扱えないのだろうか。
「前に浮島にコピーした動物を出してみたことがあるんですけど皆動かなくて死屍累々みたいになっちゃってましたねー」
「それは不気味だね…」
そんな光景見たくない。想像するだけでも酷い様相が目に浮かぶようだ。
「もう一つはねこちゃんの世界のインターネットみたいなのは無理ですねー」
「あー、確かに何か物をコピーしたらできるって物でもないか…」
確かに、何かコピーしてきて完成とするには複雑すぎるものだ。一応理論上は世界中のサーバーとかをコピーすれば出来そうに思うが、まぁ女神が無理と言うのだからそう単純なものでも無いのだろう。
「あれがコピーできるならねこちゃんの世界のWeb小説なんかも読み放題なんですけどねー…」
「インターネットでやりたいことで最初に出るのがそれってどうなの…」
この家にある本棚から分かりきった事ではあるのだが、相変わらず女神っぽくないというか俗な感じなのであった。
大体前提になる世界観の説明はできたかなと。
次回からまた転移に挑む章です。