28話 見覚えのあるドーム
28話 見覚えのあるドーム
私はそのドームのある浮島に降り立った。そこは一際大きい浮島で、土でできた表面の上に違和感しかないドームが建設されていた。本来周囲にあるはずの駐車場などのアスファルトはなく、私にとっては違和感を感じる光景だった。
中に入って少し歩くと、観客席のような所に出た。そこから更に先を見ると、少し下の方にはかなり広いスペースが広がっていた。言うまでもなく、私の世界でスポーツなどの会場に使われていた場所そのものだった。
ただ、私の印象としては歓声が響いているようなうるさい場所というような印象だったので、誰もいなくないこの空間は不気味なものに思えた。
「なんか…気味が悪いな…」
そう呟いてみても、私の声と足音がが虚しく響くだけだった。
「人がいる時に来てみたいなぁ…」
思えばこの世界に来てからはずっと女神と2人きりだ。沢山人がいる光景なんてものはもう長らく見ていない。そんな皆で騒ぎたいような性分という訳では無いが、ふと思ってみると機会すら無いのは少し寂しい。
「あれ?迷子にでもなっちゃいましたー?」
「……っ!?」
不意に後ろから声がした。