24話 空を飛べる乗り物
「そうだ、せっかくここまで来たのでこれを試してくれませんかー?」
そう言うと女神はどこからともなく箒を取りだした。ポケットに入るとかいうサイズでも無いし、異次元収納のような何かを使ったのだろう。
箒はどこにでもあるような箒…という訳ではなく、なにやら豪華というかハイテクな感じがする装飾がされたものだった。
「一応念の為に聞くけど、それでこの辺りを掃除しろって話では無いよね?」
「一応掃除にも使えるけどそうじゃないですよー。多分思った通りの使い方だと思いますー」
そう言って女神は箒を渡してきた。
受け取って見てみると、持ち手の部分になにやらボタンようなものが付いているのが見えた。恐らくこの辺りで操作しろという事なのだろう。
「…飛べるの?」
「ですねー」
やはり、そういう事らしい。これで私に魔女のように飛べと。名前的には魔女というよりはその使い魔のようだけど。
「私魔法なんて使えないんだけど」
「大丈夫ですよー。とある世界で魔法無しで使えるって売り文句で作られていたものなのでー」
わざわざこんなものを作るなんて、なんて都合の良すぎる世界なんだろうか。そもそも、世界を跨いでも箒に跨って空を飛ぶという概念はあるのか。
「飛ぶための乗り物だとしても、なんでわざわざ箒なの?」
「それはもちろんロマンですねー!」
「気持ちは分かるけど」
こうして、突発的に魔女箒の実験が始まるのであった。
異世界と言ったら魔女ですよね?