19話 99万人の私達
「そういえばなんだけどさ、転移のテストって試しに何か転移させたりでもしているの?」
先日の転移の際に、テストを導入したとの事だったので、その内容について女神に聞いてみた。今まで宇宙や上空に転移させられていたぐらいなのだから、私を転移させるのがテストのような扱いだったのだと思っていた。ただ、それの更にテストとはいったいどんなものなのだろうか。
「そんな感じですねー、試しにねこちゃんのコピーを作って転移させてましたー。殆ど失敗して宇宙とかに転移しちゃいましたがー」
「えっ」
何かを転移させているというのは合っていたが、その何かの答えが中々に酷いものだった。いつの間にかコピーを作られた挙句、テストと称して宇宙とかに転移させられていたようだった。
「なんでしょうねー、魂がある人とそうでないコピーだと転移の調整がずれるようなので、宇宙や地中のような極端にずれた場所に転移するのを防ぐぐらいしか出来ないみたいですー」
なるほど、大雑把な調整は出来るが細かい調整は実際に私を転移させないと難しいということだろうか。
「コピーには魂がないってどんな感じなの?」
「イメージとしては死んでは無いけどずっと寝ているねこちゃんですねー」
「それをどれぐらい転移させたの?」
「今回は百人ぐらいですねー、最後に着地したの以外死んじゃいましたがー」
私の知らない所で私のコピーが大量に生み出されていただけでなく、転移失敗で死んだらしい。このクソ女神には倫理観とかは無いのだろうか。
「ねこちゃんの転移とテストで合わせて100万回ぐらいやれば転移も完成するはずですー」
「コピーは99万人も殺される計算なのね…」
コピーも合わせたら実質100万回私は死ぬことに…。これが本当の100万回死んだねこか。そんな事を遠い目をしながら思ったのであった。
ついにこの作品ブックマークに1件登録されたようで。
本当に読んでくれている人いたんですね。ありがたや…。