1話 死に続ける私の日常
目を覚ます。見なれた天井。ふかふかのベッド。横にはニコニコ顔のクソ女神。
「あ、ねこちゃん起きた?」
「何が起きた?だよ、このクソ女神」
ベッドから起き上がり、すぐさま飛び蹴りを放つ。
不意を突かれたクソ女神は避けることが出来ず、ぐえーとか言いながら吹っ飛んでいった。もっとも、この女神は不意を付かれなくても避けることなんて出来ずに吹っ飛んでいくと思うけど。
「痛いなー…ねこちゃんの可愛い寝顔を見てただけなのにー…」
「それが人を殺したばかりの奴のとる態度かよ」
「ねこちゃんがすぐ死んで戻ってくるなんていつもの事でしょ?」
そう、私はこのクソ女神に何度も殺されている。
元いた世界で不慮の事故で死んだ私は、なんの気まぐれか死後にこのクソ女神に蘇らされた。そこから、よくある小説のように異世界転生…とはならず、異世界転移をさせられることになった。
ただ、その異世界転移のシステムが問題で、基本的に今みたいに失敗するときた。曰くまだ開発中のシステムとの事で、クソ女神が私を蘇らせたのは実験台として使うためだった。
それからというものの、転移させられては、今みたいに死ぬのを繰り返させられている。猫と言うよりはモルモットのような扱い。私かわいそう。
「日常的に殺すなんて訳の分からない事していいと思ってるの?私が死なずにすむ努力をして?」
「いやー頑張って作ってるんだけどねー、なかなか上手くいかないものなんだよー…」
こいつは頑張ってるなんて言ってるが、このシステムの生還率は現状0%だ。
先程のようにに上空に飛ばされてフリーフォールすることもあれば、生き埋めになったりマグマの中だったり、挙句の果てには宇宙空間に飛ばされたり…。
そんな感じにまともに使えたものじゃないので、実験台の私を飛ばしてデータを取って調整…改良したらまた飛ばしてという事を繰り返している。
もっとも、本当に改良されてるという実感は今の所ない。毎回死んでるし…。
「自称神様なんでしょ、さっさと完成させてよ」
「神様だからってなんでも出来るって訳じゃないんですよー、ちゃんと死んでも蘇らせらせてあげてるんだから許してくださいよー」
今回のように、実験でそのまま死んだら終わりという訳ではなく、死ぬか死にかけたらこの世界で蘇るようになっている。おかげで何回でも実験台を使いまわせるという、やったね!ひどい。
「殺されるのも腹が立つけど、今回のは特に酷かった」
「あー、最初から蒸発とかじゃなくて暫く落下してましたからねー…」
「あんな超高度から紐無しバンジーとか、死ぬにしてももうちょいどうにかならないの?なんであんな恐怖体験しなきゃいけないの?」
「うーん、まだまだ要改善ですねー」
要改善とか言いながらこのクソ女神はいつも大した改善をしてこないので、どうせまたろくに改善されないまま、また私が死ぬはめになるのだ。
私はどうせダメなんだろ、と呆れた顔でこのクソ女神を睨みつけてやった。
クソ女神の方はそんな私の視線に気付かず、のほほんとした顔をしてやがるけど。
ねこと女神の関係は6話目ぐらいから書いていこうと思います。
ホットスタート的な書き出しをやってみたかったものでして。