18話 技術が発達している世界の注意点
目を覚ます。見なれた天井。ふかふかのベッド。横にはニコニコ顔のクソ女神。
「あ、ねこちゃん起きた?」
「寝ていい?」
3回目で慣れてきたとはいえ、紐無しバンジーは精神的なダメージが大きい。クソ女神に蹴りを入れる気力も湧かないので、ふて寝をしていたい気分だった。
「いいですよー」
いいのかよ。
そう心でツッコミをしながら、私は二度寝をした。
「それで、今回はどうでしたー?」
二度寝から起きると、女神に今回の転移について尋ねられた。
「飛行機の上に転移して、そのまま落ちてまた紐無しバンジーだったよ…」
紐無しバンジーの感覚を思い出して、げんなりとしながら答える。
「ちゃんと着地した状態になるようには調整したはずだったんですが、飛行機の上に着地するのは予想外でしたねー…」
「一応あの飛行機から振り落とされなかったら成功と言えたかもしれないけど、そのまま着陸した後に人が上に乗ってるって大騒ぎされるのは勘弁かな…」
大きい吸盤のような、飛行機から振り落とされないための装備を持ち込めば空港のようなところまで行けるかもしれない。
ただ、私が元いた世界で着陸した飛行機の上にそんな人がいたなんて事があったらどうなるかを考えると絶対にやりたくない。悪目立ちどころではなく、それこそ捕まるかもしれない。
「あそこまで技術が発達している世界だと急に人がというのも問題ありそうですねー」
「たしかに、それだけでも大騒ぎされそうね…」
突然現れた人間として、面白おかしく取り上げられる様子が目に浮かぶ。ただでさえ捕まるかもしれない事を命懸けでやった上に、そんな扱いをされるぐらいなら紐無しバンジーをやらされた方がマシだ。
今回の反省としては星が移動している世界は転移先の設定が難しいこと、技術が発達している世界は要注意といったところか。
よくある小説で舞台の時代が中世を意識しているのも、近代的な世界ではこういった問題があるからなのかもしれない。