17話 時を越えた先の世界
光が消えたその瞬間、確かに地に足が着いた感覚があった。今まで転移してから着地出来たことは1度も無かったので、初めての経験だった。
「すごい…本当に着地できた…?」
おそるおそる周囲を見渡してみると、そこには大自然…ということは無く、何か金属でできたプレートのようなものの上にいるようだった。そして、そのプレートの先は空が見えた。
「あれ…?どういう状況…?ってうわあ!」
困惑していると突然突風が吹き付けた。プレートのような足場に掴まることが出来る所など無く、私はたちまち吹き飛ばされた。
そのままプレートの足場から落とされて、下から元いた場所を見た時に状況を理解した。
私が転移した先は飛行機の上だった。そして今、そこから落とされてしまったということだ。
「あー…今回は惜しかったかな…」
なんとかあの飛行機にしがみついて空港まで辿り着く事が出来れば、転移は成功と言えたかもしれない。ただ、空港で飛行機の上に人がいるなんてなった日には大変なことになりそうだが。
「とりあえず現地の様子を話せるぐらいの収穫はあったかなー…」
そんな事を呟きながら、私はまた空から落ちていくのであった。