16話 念入りな準備
転移先の時間によって星が移動する事が発覚してから1ヶ月程が経った頃。ようやく転移の準備ができたとの事だった。
普段は数日〜1週間程で準備が出来る事が多いので、今回はいつも以上にしっかりと準備をしていたのかもしれない。
「今回こそはちゃんと転移出来るはずですよー、軽くテストしたら着地の判定までは確認済みですー」
「転移前にテストが出来るなんて初耳なんだけど」
「今回初めて導入してみましたー。そのせいでいつもより時間かかっちゃいましたがー」
なるほど、テストの導入で時間がかかったのか。私を直接送らなくても試しに何かを送ってある程度様子を見ることが出来るようなものを用意したということだろうか。それが出来るのであればもっと早くやってくれれば無駄死にの回数が減ったかもしれないのに…。
「ただ、試しに送るのと実際にねこちゃんを送るのだと若干勝手が違うので、少しは場所がずれちゃうと思いますー、また上空とかになっちゃったら申し訳ないですー…」
「上空は勘弁して欲しいね…」
「もし落下するようなら早めに回収できるよう努力しますー」
あの紐無しバンジーは本当に怖いのでやめて欲しい。
「それじゃーそろそろ始めますかー」
女神がそう言うと私の視界は光に包まれる。転移が始まったようだ。
「上手くいったら後で現地の様子を教えてくださいねー」
「そんなすぐ上手くいくものとは思えないのだけれど」
「まーそのときはそのときでー。それじゃー、行ってらっしゃーい」
そうして、女神に見送られながら私はまた前回と同じ世界へ転移した。