9話 所謂実験台扱い
「その転移なんだけど、私を転移させるのはもう少し待ってもらうことはできない?せめて安全に転移ができるようになってからじゃダメ?」
すぐに死ぬ前提で異世界転移させられるのは勘弁して貰いたいので、せめてもう少し待って貰えないかと頼んでみた。
だが、女の子からの回答は予想の斜め上を行くものであった。
「その安全に転移というものを実現するためにやるんですよー。練習というか、データ取り?」
「え…それだと私、実験台みたいな扱いで転移させられるの!?」
「ですねー、しかも使い捨てじゃなくてちゃんと回収して使いまわせるやつですー」
なんてこった。こいつ私の事を実験台としてしか見てないのか。しかも失敗しても戻ってこれるって使い回しのためのシステムだったのかよ。
もしかしたら死んだら蘇生、死んだら蘇生と無限に繰り返される、地獄みたいなことをさせられるのかもしれない…。私、生前そんな悪いことした!?
「断るのは?」
「ダメですー」
「案外成功するとかない?せめて2、3回で終わったりしない?」
「多分今の完成度だと、転移1分後の生存率は0.1%ですねー」
「それが100%になるまでどれぐらいかかりそう?」
「最近だいぶコツを掴んできたので、あと1万回ぐらい試せばなんとかなるかとー」
「もしかして今から私を1万回は殺す気でいる?」
「そんなにかからないといいですねー」
こいつ女神は女神でもクソ女神だ。あるいは神は神でも邪神か…。
「そうですねーものは試しに1回行ってみませんかー?」
「そんな軽いノリで殺人予告しないでくれない?」
「それじゃあ始めますねー」
そうクソ女神が言うと、私の視界が光に包まれた。待って、私転移するなんて了承してない。
そうして光が強くなっていき、眩しさに目を閉じたところで私の意識は暗転するのであった。
今から1万回は死ぬ予定のねこ。可哀想に…。
この女神は結構酷い奴です。