女剣士、ダイヤモンド・デュラハンと戦う3
デュラハンに向けて連続で剣を振るう。けれどそれらは全て受け止められて有効打にならない。
それでも私は攻撃をやめない。攻撃は最大の防御。このまま一気に戦いの流れを持っていく。
でも、ダイヤモンド・デュラハンもそう甘くは無い。
「グハハハハハ!!!」
突如ドクロのような首をカタカタと震わせて、高らかに笑う。
そしてそのまま攻撃をものともせずに私に向かって連続で大剣を振るった。
「…………ぅ」
咄嗟に回避に走るが、その鋭い剣撃は回避しきれず私の身体を抉る。
完全な回避は諦めて致命傷にならないように身を捩るしかない。
死霊種はしぶとい。
痛みを感じなければダメージを与えても高い耐久で中々倒し切ることが難しいと言われている。マインが教えてくれたこと。
私は炎スキルの使い手だからこれまであまり苦戦せず焼き尽くしてきたけれど、ここまで強力な死霊モンスターではそう易々とはいかない。
だからダイヤモンド・デュラハンが仕掛けてきたのは防御を捨てた捨て身の特攻。
距離を取ろうとする私を逃がさんと飛び込んできては回避もせずにただ私を殺す剣を振るう。
「…………っ」
私の剣がデュラハンの身体を撃つ。
でもデュラハンは怯むどころかむしろどんどん勢いを増して私に迫り来る。
私が3回攻撃を当てればデュラハンの攻撃が私の体を掠めるぐらい。ステータスでは負けているが私の【アビリティ】【超反射】でデュラハンの攻撃を躱す。
ふざけてる。
正直そう思った。
攻撃を当てた回数で決着がつくのなら、私に軍配があがる。けれど、奴は耐久力が自慢の死霊モンスター。
私の攻撃を何度当てても奴は倒れず、逆に奴の攻撃が私を完全に捉えれば、たった一撃で決着がつく。
奴もそれを分かってこんな捨て身の特攻を仕掛けてきてるんだろう。
両手剣を振り回し、魔法を連発しながら私は紙一重の戦いを続ける。これもいつまで続くか。魔力だって、私には限界がある。
けれど、デュラハンにはそれがない。ほぼ無限の魔力で私を追い立てる。長引けば長引くほどに私は不利になる。
デュラハンの大剣が頬を掠める。その隙に私は3連撃叩き込むが、デュラハンの首から青い光が飛ぶ。
炎の羽でそれを撃ち落とすがその爆発のエネルギーがまた私の体を襲う。
その爆発に紛れてデュラハンが飛び込み私に剣を落とす。
ギィィン!!
「…………っ」
それを受け止めたモモカの剣がピシリと悲鳴をあげる。刀身に小さなヒビが入ったのが視界の端でわかった。
それを見たデュラハンの攻撃速度が上がる。
まともに受け止めたら両手剣が折れる。そうなったら完全に撃つ手がなくなってしまうだろう。
私は下手に受け止めずに回避に走るしかなかった。
だが、デュラハンの攻撃をそう易々と回避できるはずもない。
ズバン!!
デュラハンの刃が私の身に堕ちる。
「く……!」
デュラハンの攻撃を私は防具で受ける。かつての親友カミラがくれたそれは鈍い音を立てるが砕けない。けれどその一撃の重さに繋ぎの革が千切れ地に転がった。
アバラの骨が何本か折れた。口から血を吐き出す。
「あぁ〜……」
「やっぱりダメだな、勝てるわけねぇよ」
「せっかくの美人なのに、勿体ねぇ」
観客席から私の敗北を察して失望の声が上がる。
「…………ふふ」
防具は吹き飛んで、頼みの綱の大剣も限界が近い。
魔力ももうほぼ底をついた。
そんな満身創痍の私の姿を見て、デュラハンは高笑いする。
デュラハンから放たれたのは全身全霊を込めた一撃。
大剣で受け止めようものなら大剣ごと砕かれて私を両断するまさに死神の一刀。
勝利を確信した、言わば慢心とも呼べる一撃だと思った。
「…………やっぱり、あなたは違うね」
それでも、私の目は死んでいない。
「ぐぉ……?」
そんな私を見てデュラハンは一瞬驚いたような顔をして見せた。
私はデュラハンの一撃に己の大剣をぶつける。
バキィッ!!
私の大剣は砕け、パラパラとその刀身を舞わせる。けれど、それと引き換えに僅かにデュラハンの攻撃を逸らして見せた。
私はその隙間に自分の体を捩じ込むと、グルリと身体を半回転。回し蹴り。
私の右足はそのままデュラハンの首を掴む左手を下から蹴り上げて見せた。
ゴッ!!
デュラハンの死角。多分デュラハンの視界は今グルグルと目まぐるしく回転しているんだろう。
私は懐にしまっていたナイフに手をかける。いつもいつも、マインが使っている愛用のそれ。
「【紅天撃】!!」
私は打ち上げられて無防備になったデュラハンの生首にナイフの一撃を叩き込んだ。




