雷の勇者。荒れる
「くそがぁ!」
俺はネクステンドの街中で声を荒げて道端のガラクタを蹴り壊していた。
「どういうことだ……!ミーア!てめぇまさか手を抜いたのか!?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!そんな訳ないでしょ!?」
学力試験の結果、シデン達のパーティの点数は34点。合格するには合格したが、合格パーティの中でビリだった。
「お、落ち着けよシデン」
「落ち着いてられるか!こんな事があってたまるか!!」
他の奴らは二桁も取れていないのに、あのふざけたサポーターは満点合格だぞ……!?どんなふざけた手を使いやがった!?
あんなグズがこんな難しい試験を満点突破など考えられるはずがない。
そもそも、おかしいだろう!?いくら勇者試験とはいえ、あの難易度は狂ってやがる。
一体なぜ今回に限ってこんなに難しい試験になってやがった!?
「くっそ……クリスタル・ワイバーンに紫色の奴がいるとか知らなかったぞ……」
「ロッキンガムの最高聖女ダイアナの弟子って4人じゃなかったか?」
「そういや、噂で引っ込み思案の弟子がいるとか言ってたような……」
「ありえねぇ!そんな表に出てこない奴のこと誰が知ってるってんだよ」
周りのパーティ達もこんな風に試験の結果に対してさんざんな事を漏らしていた。
「と、とにかく!試験自体は突破したんだ!それでいいだろ!」
「よくねぇんだよ!このままだとヤバい!」
取り敢えず学力試験は通過したからこのまま戦闘試験を受ける事ができるようになった。だが1つ大きな問題があった。
「問題は俺達がビリだったってことだ!」
戦闘試験は当然ギルドが用意したモンスターとの戦闘を行う試験。
だが、戦うモンスターは全員同じではなく、様々なモンスターが集められている。
学力試験の結果順で自分が相対するモンスターを選ぶ事ができる訳だが……。
「今回の戦闘試験に、とんでもなくヤバい奴がいる」
おそらく、どこぞのふざけたアーサーが捕獲して持ち込んだであろうとあるモンスター。
1対1であれば全盛期のシデンでも手を焼く化け物。
つまり、ビリであるシデン達にそいつが割り当てられると言うことである。
「くそ……!」
どこぞのパーティを脅して……いや、そんなことしたところで動く奴らはいねぇか。
だったらどこぞの勇者パーティを潰す……いや、そんなことしても多分結果はかわらねぇ。あのアーサーのことだ、モンスターの数を減らして結局ビリにあいつがあてがわれる。
何としてでもあいつだけは回避しねぇといけねぇ。なら……なら一体どうするか……。
「…………っ」
その時。ふとシデンの視界にとある男が歩いているのが見えた。
「よぉ……こんな所でてめぇに会うとは……」
「……っ」
そこにはふざけた態度をとるサポーターの姿があった。




