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サポーター。他意なんてない

 そう言えば……ユーリさんてあんまりお酒強くなかったよな……。


 そんなことを思いながら崩れ落ちるユーリさんの身体を支える。


「ゆ、ユーリさんしっかり……」


「う…うーん……」


 一方のユーリさんはと言うと、目を回しながら苦しそうに唸っていた。


 ダメだ、これ完全に潰れちゃってる。


 とりあえずこのままにはしておけないのでユーリさんを傍らのベッドに運ぶ。


「だ、大丈夫ですか?」


「………………」


 返事は無い。


 完全に酔い潰れてしまったようだ。


 せっかく覚悟を決めたのにから回ってしまった感じがして虚しく思うけれど、同時にどこか助かったと思う自分もいた。


 あのままユーリさんの頭を撫でていたら、僕の中で何かが崩れてしまうような気がしていた。


 危ない……僕はユーリさんのサポーター。それ以外の他意なんてなにも……。


「ん……」


 ユーリさんが僕に身体を預けるように倒れ込んでくる。


 そしてそれはユーリさんの身体を抱き抱えるような形になってしまうわけで……。



「ファーーーーーーッ!?!?」



 ユーリさんの胸が……身体が!柔らかい……何だこれ……何だこれ!?


 僕はすぐさま次の試練が訪れていたことに気がついた。


 2人きりの部屋。酔い潰れたユーリさんと密着した2人の身体。そのすぐそばにはベッドが……。


「ぐ…ぬぬぬぬぬ…………!!」


 耐えろ……耐えろ僕!僕はサポーター!ユーリさんは僕が支えるべき大切な人!


 そのために全てを捧げると決めただろ!?これまで数々のハニートラップだってかわしてきただろう!?そんな僕が何だってこんな……!!


「…………っ」


 それは、考えてはいけないことだった。


 僕がユーリさんのサポーターとして生きていく上で、考えてはいけなかったこと。


 咄嗟に僕は思考を切り変える。


 何とか……何とかこの状況を打破する方法を……!何かないか何か……!!


 グルグルと1人で思考を回し……僕が辿り着いた答えは……!!




『おやマイン。ついにあたしと寝る気になったか。ほら来な、その童貞華々しく散らしてやるよ』




「僕の操は……!そう易々とは譲りません!!!」



 あの怪しげな店でキセルを咥えているであろう誰かの顔を思い浮かべ、己の劣情を消す。


 そしてユーリさんの身体をベットに転がすことに成功した。


「はぁ……はぁ……」


 あ、危なかった。何とか耐え切る事ができた。


 頭のどこかで『あんた、帰ってきたら覚えときなよ?』とレベッカさんが言っている気がするけどなんとか危機を乗り越えた。


 僕は穏やかな寝息を立てるユーリさんにそっと布団をかけた。


「う、うーん……」


 どこかしんどそうに唸っているユーリさん。大丈夫かな?濡れたタオルでも持ってきてあげよう。そう思って一度部屋を後にしようとする。


「……………………」

 

 けれど、僕はふと足を止めて振り返る。


 そして、誰もいないのは分かっているのに何故か周りに人がいないか確認。そしてそっとユーリさんの頭に手を伸ばす。



「頑張ってください、ユーリさん。僕はいつだってユーリさんのこと応援してますから」



 そう言って、僕はユーリさんの頭を撫でる。


 さっきとは何か違う、暖かい何かが僕の胸に広がった気がした。

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