サポーター。祝杯をあげる
学力試験の結果。
僕らは試験を1位で突破してみせた。
「「乾杯!」」
その結果を経て僕とユーリさんは宿屋の一室で静かに祝杯をあげていた。
レベッカさんが持たせてくれた果実酒で乾杯をして、僕が作った簡単なつまみを楽しむ。
「マイン……すごかったね」
ユーリさんは苦笑いしながらそう言う。
「いえそんなことありませんよ。7年もサポーターやってれば誰でもあれぐらい余裕ですから」
真摯にサポーター道を歩んでいればあれぐらいの知識は簡単に得られるはず。だってこの僕だってあれぐらいできたんだから当然だろう。
「……マインがおかしいと思うけどなぁ」
「はい?」
「何でもない」
ちなみに、僕らの結果は満点。第2位のパーティは150点満点中50点ぐらいだったかな?
全くけしからんなぁ……普通にやってたらあれぐらいの試験、簡単だろうに……。
「でも……私、ほんとに役に立たなかったね……」
僕がそんなことを思っているとユーリさんがそう言って俯く。
「他の冒険者の妨害だって、マインが気が付かなきゃ私どうなってたか……」
「そんな!何言ってるんです!」
そんな弱気なことを言うユーリさんを見て、僕はたまらず声を張り上げていた。
「僕なんて!ただ目ざとくて小うるさいだけのサポーターですよ!?ユーリさんが居てくれるから強気になってるだけです」
どれだけ僕が闇討ちとかに気がついてもそれを退ける実力なんてない。
ユーリさんがいてくれるからこそだと言うのに。
「それに次は僕は何の手助けもできないですから……」
次の試験は戦闘試験。今回の試験は勇者が1人でモンスターと戦闘を行い、相手を討伐すれば突破となるらしい。
こればっかりは僕がサポートすることはできない。ただユーリさんの勝利を願って待つことしか。
そんな自分が……少し歯がゆかった。
「こんなことしか言えないですけど……頑張ってください」
「……………………ねぇ」
そんな歯がゆさを感じていると、ふとユーリさんが僕の方を見て頬を赤く染める。
「じゃあ……その……戦闘試験を頑張れるように……1つお願いしてもい?」
「は、はい!なんなりと仰ってください」
ユーリさんからのお願い?何だろう?
僕にできることならなんだってやろう。
そう思って僕は正座に座り直してユーリさんの次の言葉を待った。
「…………………………」
ところが、ユーリさんはじっと黙り込んで手に握るジョッキを睨みつけている。
な、何だ?一体なんなんだ?
このただならぬ雰囲気……まさか、こんな安酒じゃなくてもっといい酒を探しに行ってきてとか、そんな話だろうか?
まぁ……それぐらいなら別にいいんだけど。でもユーリさんってそんなお酒強かったっけ?
「あ……あぁっ」
すると、か細い声でユーリさんが声を漏らす。
「…………ごにょごにょ」
「え?え…と……何です?もう1回お願いします」
けれど、いつも言いたいことを言うユーリさんは珍しく何かを言い濁している。
「あ…あの……ユーリさん?」
「………………っ!」
すると、顔を真っ赤にしたユーリさんはその手に握るジョッキをグイッと飲み干す。
そして傍らに置いてあった酒瓶を引っ掴んでそれを口に流し込んだ。
「ゆ、ユーリさん!?」
すると、今度は困惑する僕の手からジョッキを奪い、それすらもゴクゴクと勢いよく飲み込んでしまった。
ドンッ、とジョッキをツマミを並べたテーブルに叩きつける。
その勢いで僕のジョッキはバカンと音を立てて砕け散ってしまった。
「…………て」
「は…はい?」
ユーリさんの声を聞くために、僕はユーリさんの声に耳を傾ける。
「あっ…頭……!ななななでっ……撫でてっ!!」
顔を真っ赤にしたユーリさんは僕にそんな事を言ってのけた。




